傍聴ブーム再燃の兆し!?

裁判No.25
事件:器物損壊 概要)民家の玄関を壊す
被告人:60代男性
傍聴席:2人


裁判の中身は「続きを読む」からどうぞ。


2週間も彼女の紹介に費やしてしまいましたからね。そろそろ、男臭い裁判の話に戻りますよ。
今回もはりきって参りましょう。


僕が裁判傍聴を始めたのは、大学4年生のときですから、今から約3年前。
その頃、ひそかに傍聴ブームなんて呼ばれていて、今でもメディアによく出る阿曽山大噴火さんを筆頭に、数多くの人が裁判をおかずに様々なメディアに取り上げられていました。
それに敏感に反応したのが、大学生。まぁ大学生って基本暇ですからね。傍聴ブームが最も騒がれていた(?)ときは、法廷に学生の姿は多数見ました。
あと、たぶん仕事は退職したのか、そもそも暇人なのか年配の男性も多いですね。これは今もですけど。ただ、逆に年配の女性って家族以外で法廷であんま見ないんですよ。なんでだろう?

被告人は60代前半の男性。
被告人は、前刑の出所直後、実母の家に行きお金を借りようと思いましたが、居留守を使われたことに腹を立て、玄関のガラスを蹴り割ったとのこと。

え〜つまりですよ、この被告人、刑務所を出た日に再度捕まったと。絶対、入口の刑務官さんとかに「もう、こんなとこ来るなよ」とか言われたに決まってるのに、期待を最大限に裏切る男だなぁ。
で、起訴状の通り、被告人の家族は被告人が家に来たときに居留守を使いました。というのも、今までも散々被告人は家のお金を勝手に使っては飲んで迷惑をかけ……というのを繰り返していたからだとのこと。もう見放されているということですね。
なので、傍聴席には当然、被告人の家族なんているわけない、と思ったら




いた!!
60代の被告人の母親に相応しい、どう見ても80以上のお婆ちゃん。しかも、一人で来てるし。見放しはしたものの、やはり根っこからは見放せないってことなんだろうね。なんか、クスンクスン小さくなって泣いています。


検察側から証拠があらかた示されると、次は弁護側の立証に移ります。
ここで、反省文を提出したり、被告人質問や証人尋問を請求したりします。

裁「弁護人の立証のご予定は?」
弁「はい、弁1号証といたしまして、被告人が被害者に充てた謝罪文。それと被告人質問をお願いします」

あれ?証人尋問やらないの?
まぁ、なんか責められるだけ責められて逆に心証悪くなる場合もあるからな。でも、再犯予防の見地からもいたほうがいいのになぁ。

弁「被告人は、被害者に謝罪文を送っていますね。これは、具体的にどのような内容ですか?」
被「今回、行ってしまった行為に対する謝罪と、もう親の手を借りずに生きていこうと。「もう、これをもって貴方の家には近付きませんのでご安心を」と書きました」

60にもなって、ようやく自立の精神って……。それにしても、親に向かって貴方って表現使う人あんま好きじゃないなぁ。
そして、ここでお婆ちゃん号泣。ついに一人立ちを決めた息子に感情移入したのでしょうか、裁判の邪魔にはならないよう気をつけていますが、鼻をズルズルやっています。

弁「被告人、今日法廷には、被告人の家族は誰か来ていますか?
(被告人、傍聴席を振り返って、お婆ちゃんを凝視して)
被「いえ、誰も来ていません。自分は家族にひどいことをしたので、決して来る気になれないんだと思います」

お婆ちゃんさらに号泣。
なんなんだ、この演出は?自立する自分を見せるために、もう親の手は借りないという意思表示なのか?
お婆ちゃんもその息子の気を汲み取って、何もしない決心をしたのか。甲子園を目指すために、親元離れて強豪校の寮に巣立っていく息子を見て涙を抑えられない親の心境なのか。高校球児と60歳の巣立ちを一緒にしちゃいかんか。


被告人は、前刑から全く時間も経ってない中での再犯なので懲役一年二月実刑が言い渡されました。
被告人は傍聴席に目をやるでもなく、刑務官に法廷の裏へと連れられていきました。言うまでも無く、お婆ちゃん号泣。しかし、そんなお婆ちゃんの空気とは関係なく、次の裁判が始まるため、検察官が席を立ち次の検察官が着席し、弁護士が席を立ち次の弁護士が着席しました。
そして、お婆ちゃんはというと、




そのまま次の裁判も傍聴していきました
弁護士と一切、話をしなかったところを見ると、本当に感情豊かなただの傍聴人だったようです。やっぱ、完全に親からは見放されてたんだね。
もし仮に、「けふ、さいばんといふものを、ぼうちょうせむ」みたいな明らかに年配女性の傍聴ブログが始ったりしたら、それは僕も同席していた可能性高いです。傍聴ブーム、年配女性から火がついたりしないかなぁ。