1984年生まれはギリゆとり世代ではないとだけ言っておく(前編)

傍聴No.69
事件:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反 概要)電車内の痴漢
被告人:20代半ばの男性。
傍聴席:13人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


「零」の連載再開キタ-----------------------------!!
零ってのは、カイジなんかでお馴染みの福本伸行週刊少年マガジンで連載していた漫画のことね。

賭博覇王伝 零(1) (KCデラックス 週刊少年マガジン)

賭博覇王伝 零(1) (KCデラックス 週刊少年マガジン)

まぁこの漫画やこの人の特徴っていろいろあるけど、「ざわざわ」ってフレーズだけでも聞いたことあるって人いるんじゃない?

TUBEと聞かれたら「夏!」広瀬香美なら「冬!」ってのと同様に福本といえば「ざわざわ...!」って言っておけば10秒は会話もちます。
いやぁ最近のマガジンは正直マンネリ気味だったから、この発表はかなり嬉しいわ。


そんな訳で、マガジンとサンデーが同じ週に休むのマジで止めろってとかれこれ15年ほど騒ぎ立てている「普通」です。
今回もはりきって参りましょう。


22歳で裁判傍聴を始めて、最初は自分と同い年の被告人なんてほとんどいなかったのに、今となっては自分よりも年下の被告人なんてものもちらほら。それでもやっぱり、自分と同じ歳の被告人が出てくると、同情することもありますし、情けないと思う事や怒りを感じたり、通常の裁判より感情を強く持ってしまいます。

被告人は20代半ばの男性。私と同い年。
被告人は通勤の電車内にて、近くにいた女性(23歳)の臀部や太ももを触ったり、下着の上から陰部を触るなどをした疑い

相変わらず痴漢の犯罪というのは減ることもありませんで、いくつか裁判を傍聴していると定期的にこの痴漢の裁判というのにあたります。
痴漢事件というのは動機が様々で、もちろん己の性欲を晴らすためにやったという最悪のパターンもあれば、嘘か誠か満員電車で体が密着しているうちについエスカレートしてしまったとか。で、この人はなんでこんなことしたかというと、



「むしゃくしゃしてやった」

警察での取り調べでこう答えたとか。殺人犯気質すらも兼ね備えているのではないかと疑いたくなる答え。




なんでこんなことになったのか、被告人質問で明らかにしてもらいましょう。

弁「今回、痴漢をしてしまった訳だけども、警察で「むしゃくしゃしたから」と答えているようですね。これはどういう意味ですか」
被「仕事で意見の合わない上司がいまして、非常にストレスもたまっておりました。なんだか、全てのものにイライラしているような状態でして、で、たまたま目の前にかわいい女性がいたのでイタズラしたくなり、やりました
弁「では、あなたは初めから痴漢をする目的で電車に乗った訳ではないのですね」
被「もちろんです。通勤のために乗ってますから」

軽くカチンと来る言い方。
こういう犯罪、こういう言い訳をする場合、同年代というのは悪い方向へ心証が傾きがち。

弁「被害者の女性の方にはどのように思っていますか」
被「いや、この度はこんなことに巻き込んじゃって、なんか申し訳ないなぁと思ってますよ」

てめぇ、コラ!なんだその言い方は!
被害者の女性は満員電車が怖くなって、2時間も早く通勤するようになっちまったんだぞ。それでなにが「なんか申し訳ないなぁ」だよ。
会社で意見の合わない上司がいるとかだが、それあんたの態度の問題が9割方なんじゃねぇの?とすら思う。




ただ、さらに驚くのは、時間軸は遡っちゃうんだけど、証人尋問での被告人のお母さんなのよ。

弁「今回、息子さんがこのような事件を起こしてしまったんですけど」
証「いまだに、信じられません」
弁「今回、職場のストレスが原因と被告人話しているのですが、一緒に住まわれていて被告人のそのようなストレスは感じることはあったのですか?」
証「はい。いつも帰りは遅いですし、社内の人ともうまくいっていない人がいたようで。ですので今回の件も、息子一人が悪いとはとても思えない気持ちでいっぱいです」
弁「被害者の女性に対しては、今後どのように弁償等を行っていくおつもりですか?」
証「まだ直接連絡もいただけておりませんですし、いまだに本当にそのようなことがあったのかと信じられない状態でして、そこまで頭が回っておりません

ぐはっ!!痛恨の一撃が直撃した、しかも2回攻撃で。
ってか、弁護士は土下座してでも、一連の証人尋問を裁判に採用しないでくれと懇願するレベルだろ、これ。

証「息子一人が悪いとはとても思えない」

例えばさ、ストレスでその意見の合わない上司をぶん殴っちゃったとかだったら、まだその言い訳も通じるかもしれんよ。まだね。でも、たまたま近くにいた全く被告人とは関係のない女性に対して行った暴力行為を会社にも責任があるとするかね、普通。これ、被害者やその親が聞いたら激高しますよ、間違いなく。
まぁ最後の証言に証人のスタンスがまんま表れていますよね。




被害者のことなんてなんも考えてないんですよ。
被害者から連絡が来てないから事件がいまだに信じられんだと?被害者が自ら痴漢をしたような奴らのもとに連絡すると思うのかね。自分から謝りに行くんだろうがよ。
そりゃあ息子がいきなりそんなことしたって言われても信じられんかもしれんけど、あなたもいい歳なんだから、その辺りのことはきちんとしてくれないと。




話は再度、被告人に戻ります。被告人質問の最後に裁判長が聞きました。

裁「被告人、本当に反省していますか?
被「いや、もちろん反省してますよ」
裁「今のところ、被害者に謝罪の言葉を述べたり、そういったことを行っていないようなのですが」
被「いや、なにぶん初めてなもので、そこまで頭が…」
裁「初めてなんて当たり前でしょう!頭が回らないって、被害者のことを考えずにほかに何を考えると言うのですか!

いやぁ素晴らしいよ裁判長。立ち上がって拍手したいと思ったくらいだよ。まぁ裁判長のこの怒りモードの中、立ち上がって拍手なんてしたら怒りの矛先が僕に向くだけですけど。




それにしてもこれが同い年かぁ...。
「最近の若いもんは…」ってぼやくオッサンの年代もバンバン痴漢で検挙されているから、事件そのものについて偉そうに言われる筋合いはないけど、こんなしょうもない言い訳等をしてしまうことに関しては、「最近の若いもんは...」と言われてもぐぅの音も出ないかもしれん。
まぁ言い訳の内容云々の前に、犯罪なんてしねぇのが一番に決まってんだけどさ。




でさぁ、冒頭で「ざわざわ…」の話を少ししたけど、本篇に全然絡んで来ないじゃんか。
本当は関連性あったんだけど、尺が足りなくなったんで次回に回すわ。こんな小物の裁判で2回使うのは正直嫌なんだけど、次回に続きます。