勲章を求めた結果で会社をクビに

傍聴No.72
事件:公務執行妨害 概要)警官を蹴飛ばす
被告人:40代後半の男性
傍聴席:4人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


告知しておる通り、10月から大阪勤務となりまして、それに向けての引っ越し作業の最中ではあるんですがちょいと小休止とばかりの更新を。
おかげさまで壮行会っていうんですかね、お酒の機会を設けていただくことが多々ありアルコールが抜けきっていない気がする毎日。
この機会に初めてお酒を飲んだ仕事相手の人ってのも結構いて、カラオケ厨になる人猫撫で声になる人アニメは哲学だと語り出す人などいろんな人がいるんだなぁと感じる今日この頃でございます。




そんな訳で、引っ越し作業のついでに家の漫画はあらかた読んだ「普通」です。
魔人探偵脳噛ネウロ」の電人HAL編はやはり神回だったなぁと思いつつ

魔人探偵脳噛ネウロ 8 (ジャンプコミックス)

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今回もはりきって参りましょう。




まぁ男ってのはお酒の場に女性がいると基本いいところを見せようと思うものでして、喋りを頑張ってみたり、お酒が強いところをアピールしてみたり、「拙者は、ハルヒといいましてもラノベとしてではなく、メタSF作品として見ている変わり者でして、デュフフ」とヲタをアピってみたりと色々と大変なんです。

被告人は40代後半の男性。
被告人は、深夜繁華街にて大声を出して歩いているところを警察官に注意され、その警官に蹴りを入れるなどしてその職務を妨害するなどした疑い

いますよねぇ、飲むと絡み癖が出ちゃう人。
今回の被告人なんですけど、両脇にお水のお姉ちゃんを抱えていたらしく力強さをアピールしようとしちゃったんでしょうね「俺は学生のとき暴走族やってたんぞ〜!!道空けろ!!」とか「お前、この俺にガン飛ばしやがったな」などと喚きながら歩いていたとのこと。コンビニのゴミ箱蹴飛ばしたり、そりゃあもうやんちゃな振る舞いだったようで。
警官が注意に行くと、「あぁ!?お前ら、誰の税金で食わしてやってると思ってんだゴルァ!?」と今や警察24時でも見ないようなテンプレ通りの発言して蹴りをかましたとか。




で、このオッサンなんだけど、見た目が普通というかとてもそんなやんちゃをするようには見えないのね。芸能人で例えるのが難しいくらい、ごくごく平均的な40代のオッサンの風貌を各自想像してくださいな。
そんな普通のオッサンの質問の様子をご覧ください。

弁「被告人は今回の事件で、自身で何をやってしまったかきちんと認識していますか?」
被「正直、記憶が飛び飛びで断片的には覚えているのですが…しかし警察の方などから話を聞きましてとても申し訳ないことをしたと思っています」
弁「断片的といいますと、具体的にどんなことを覚えているんですか?」
被「普通の道で大声を出してしまったり、コンビニのゴミ箱を蹴飛ばしてしまったり、警察官の方と口論になり蹴ってしまったりです」


ほとんど覚えてんじゃねぇか!あんたが罪に問われてんの、まさにそれだよ。
とふざけ気味で見ていたんですが、一瞬で背筋が凍る思いに

弁「あなた現在お仕事はされていますか?」
被「いえ、していません」
弁「当時勤めていた会社は?」






被「解雇されました

ひっえええええええ!!
痴漢とかで捕まると解雇率高いですけど、同じく犯罪とはいえこの罪で解雇とは同じく酒を嗜む身としては背を正す気になります。
どうやら知人の関係で仕事は見つかりそうではあるらしいんですけど、僕は一気に同情ムードに。もう社会的制裁は十分ほどに受けたんだから、許してあげようよという気分に。
しかしそうはさせじと立ちはだかるのが検察官ですよ。

検「あなた昔、暴走族やっていたんですか?」
被「いえ、やっていません」
検「じゃあ、どうしてそんな嘘をついたんですか?」
被「一緒にいた女の子にいいところを見せたいと思いまして...
検「あなたにとって女の子にいいところを見せるというのは、暴走族をやっていたということになるんですか?


もういいじゃんか、そこ掘り下げなくても。ついつい言っちゃったんだろ。
突っ張ることが男のたった一つの勲章って信じて生きてきたんだからこの人はさ。

チョイ悪おやじを演出してみたかっただけなんだよきっと。ってか、チョイ悪おやじって言わなくなりました。ようやく、何ソレ?ってことになったんでしょうね。



検「警察官を蹴ったのは何故ですか?」
被「それは大変申し訳なく思って...」
検「謝罪じゃなくて理由を聞いているんです!」
被「詳しくは覚えていないですけど、たぶん自分なりに納得できない部分があったのかと」
検「道路で大声で喚く、物を蹴飛ばす、こんなことをしている人に注意に来た警察官に対してどこが納得できない部分があるって言うんですか?」
被「...すみません」
検「あなた、キャバクラの女の子にいいとこ見せたいがために、深夜道路で騒いで、人様に迷惑かけて、挙句の果てに勤めていた会社も辞めてしまうことになって、恥ずかしいと思わないんですか!?


絶対ぇ思ってるわ
検察官さん、あなたが思っている以上に恥ずかしいと思ってるし、後悔しているさ。いやぁなんかこっちも見てて辛かったわ。
罪犯しているのはこの人だから、そのこと自体は非難されるべきだし、それ相応の罰を受けるべきだと思うけど、酒飲んでそれでいい気分になっちゃって、って部分は自分も絶対ないって言い切れないからなぁ。それで会社クビだもんなぁ。


学生から裁判見続けているけど、今はこういう裁判のほうが感じること多いわ。普通に恐いもんな。
恐いなと思いつつ、仕事の合間を縫って裁判所に向かうってのはどうにかならんもんかねとも思う。