ゴルフバッグ高額買取中

傍聴No.74
事件:窃盗 概要)人ん家のものを勝手に持ってっちゃう
    器物損壊 概要)人ん家のガラスを割っちゃう
    住居侵入 概要)人ん家に勝手に入っちゃう
被告人:30代後半の男性
傍聴席:7人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


せどりという言葉をご存じでしょうか?
よく古書店なんかで用いられるんですけど、古書店で買った本をそれよりも高く買う古書店に売って儲けるっていう一種の商法なんですけど。最近だとBOOK OFF使ってそれやる人多いみたいですね。価値もわからず、一律の金額で販売しているからね。
何が言いたいかというと、何を高く評価する、高い金を出すかって基準はその業界や人によってまちまちなんです。




裁判に興味がない人には、ゴミの塊のように感じるこのブログを運営しております「普通」です。
今回もはりきって参りましょう。




自分の家・部屋を思い浮かべて下さい。今、家にいる人は部屋を見渡してみてください。
あなたは空き巣としてその部屋に入りました。いくら箪笥をあさっても、現金や通帳の類は見つかりません。でも、せっかくリスクを背負ってまで入った家ですから、何かしらの利を得て帰りたい。あなたは何を盗んでいくでしょうか?
つまり何ならお金になると判断するかということです。
さて今回の被告人の行動を見てみましょう。

被告人は30代の男性。
被告人は近所のマンションの1階にベランダから侵入し、ガラスクラッシャー(こんなのあるんだね)を使って窓ガラスを割って侵入(器物損壊&住居侵入)。
そして被害者の家を一通り荒らした後、CD4枚ゴルフクラブ8本が入ったゴルフバックを1つ盗んだ疑い。


目の前にゴルフバックがあったからって盗るか〜?もちろん換金用に盗んだってのは、被告人も供述しているところです。
それとCD4枚っていう微妙な枚数ね。しかも3枚は売却して1枚は観賞用に残したんだって。




どうせなら全部売れや
なんか欲しかったCDだったんだとさ。漁ってるとき、かなりワクワクしたんだろうな。
あとゴルフバッグなんだけど、ゴルフクラブだけ売ってバッグは手元に残していたとのこと。理由はなんか使うかもしれなかったからだってさ。なんか、ちょいちょいこの人天然を挟んでくるな。
でね、その売ったゴルフクラブなんだけど、俺は相場は全く分かんないんだけどクラブ8本




18万円だとさ。
俺びっくりしちゃったよ。そりゃあ8本もあるからだろうけど18万円もするもの俺ん家ないぜきっと。まぁ行きは窓から来たのに、帰りは普通にドアから出てエレベーターの監視カメラにばっちりゴルフバッグ担いでるのが見えたせいで捕まったんで、いいこと(?)ばっかじゃないんだけどさ。




証人尋問に行きましょう。証人は被告人のお母さん

弁「被告人とはいつまで同居していたのですか?」
証「中学一年生までです」
弁「それはどうしてですか?」
証「夫が多額の借金を残してどこかへ行ってしまい、とても養えないと思い親戚の方に預かってもらうことにしたんです」
弁「じゃあ、多感な時期になかなか会えずに苦労したんでしょうね」
証「いえ、徒歩1分くらいのところだったので、ほぼ毎日会っていました

近ぇな、おい。
という突っ込みも必要なんですが、親戚とはいえ食べ盛りの中学生のガキを預かるってだけでもなかなか難儀なのに、家近くてしょっちゅう会ってたということは、本当に飯食わすだけに親戚ん家預けたの?すげぇ迷惑な人じゃね?
被告人が幼少期に苦労したというエピを引っ張るはずだったのに、親の考え方に難ありみたいな方向性になってきたぞ。

弁「被告人はお母様から見てどんな子ですか?」
被「老人にやさしい子です
弁「老人に?」
被「はい、今でもたまに私の買い物を手伝ってくれますし、近所のお年寄りの方で困ったことがあると率先して動いてくれるんです。老人にはやさしいんです、老人には
弁「そのやさしいお子さんがですね、なんでこんな罪を犯しちゃったんでしょうか?」
被「......」

お母さん、代わりに僕が答えますよ。




被害者が老人じゃなかったからです。
それ以外、考えられないっす。ってかね、この被告人は一年前にも同様の罪で執行猶予の判決を受けているんですよ。そのときから、被告人が無職なことも変わっていないですし、生活環境(一人暮らし)も何一つとして変わっていないので、犯行の恐れはあったはずなんですよ。それなのにさ、

検「被告人が前回の裁判で執行猶予判決が出た後、あなたが何か気をつけていたことはありますか?」
証「週に一度くらい家に行くと、ちゃんと家にいるんで大丈夫だと思っていたんです

週に一度家にいりゃ、犯罪犯さねぇのかよ。連続殺人鬼だって週に一度以上は家にいるって。
もう慣れちゃったけどさ、なんでこう犯罪ってものに対して危機感を感じない人っているんだろうね。もはや諦めちゃっているという気持ちも分からないでもないんだけどさ。


やっぱね負のループに落ちちゃうとなかなか元に戻れないよね。それをたくさん見ている身としては、最初の壁だけはなんとしても越えちゃいかんよなってのは真面目に思う。
でも、仕事で明日やればいいやが積み重なって負の無限ループに陥ることはよくあるから人のことはあんま強く言えない。