酒は人の人生を狂わせる。犯罪を犯そうとする人さえも。

傍聴No.82
事件:詐欺 概要)所持金なしで飲み屋でたらふく食って飲んで自首
被告人:50代前半の男性
傍聴席:2人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


季節柄、大学受験の勉強してたときを思い返すんだけど、あのころは本当に真面目に勉強していたと自分のことながら頭撫で撫でしてやりたい感じでした。まぁ元がコレですので、行けた大学というのもたかが知れていますが。
そのときは、ONとOFFもそれなりに使えていた気がします。あまり集中力が続かないので定期的に休憩を挟んではいたんですが、それでもパッと勉強に戻れたし。今はそれがなかなか出来なくなった。
会社で遅くまで残っていて仕事をしているとどうしてもお腹が空くからなんか食べると気が抜ける、家で軽い作業をして合間にビールの1本でも開けようものならどうでもよくなる
OFFになったときにどっと疲れることはありますが、やろうと思ったときに集中してやり遂げるのが大事だなと思います




ちなみに白熱した裁判の際は何時間でも集中して見ることができる「普通」です。
このブログはそんな集中せずに適当にということで、今回もはりきって参りましょう。

被告人は50代の住居不定無職の男性
被告人は、某全国チェーンの居酒屋に入って、ビールや日本酒などの酒や食べ物など4,000円相当を飲食したものの、現金を持っていないことを店員に告げ警察に通報してもらった。
事件当時の被告人の所持金は108円でした。

今回みたいに食い逃げ犯の場合たまに自分から警察に通報してもらうパターンってのがあります。別の被告人のときでしたけど、路上生活で明日食べるものもない。捕まることが前提の万引きでは腹はふくれないけど、無銭飲食なら少なくとも腹はふくれるとか証言した人もいました。
わざわざ店員呼んで警察に通報させているので、今回の被告人もそのタイプなのかなと思ったんですけど、警察の取り調べに対し



被「今回の犯行は捕まるためではなく、絶対に逃げ切れる自信があった

と妙に自信たっぷりに言ったとか。でも、店員に声をかけて警察呼んでもらったみたいだしなぁ...。まぁその辺は被告人質問で明らかにすればいいか。



弁「被告人は事件当時、路上で生活をしていたようですが日々の食事はどうしていたのですか?」
被「日雇いの仕事などでのお金を食事にあてていました」
弁「日雇いの仕事は週にどれくらい入っていたのですか?」
被「全くない週もありましたし、あっても週に2、3日とかです」
弁「1回あたりの収入は?」
被「3,000円から4,000円くらいです」

その後、最近、ってかここ数年ずっとだけど不景気で仕事もどんどん減らされちゃってという話をする被告人。この辺りは、やや自業自得の人がいるにはいるんだけど、だからと言って完全に見捨てるような目を向けられないのも事実。
まぁでも犯罪しちゃいけません。
先ほども言ったけど、被告人は逃げる満々ということを証言されるのを嫌ったのか弁護士からはどうして事件を起こしたかなどの質問はなし。ヤル気満々だと裁判官の心証悪くしちゃうかもしれないしね。なので検察官が聞きました。

検「被告人はどうして今回の犯行を行ったんですか?」
被「しばらく仕事にありつけず、3日ほど何も食べていない生活が続いていたんで...」
検「どうして居酒屋にしたのですか?」
被「何度か行ったことあって、いつも店内忙しそうにしてるので逃げることができると思ったからです」
検「そんなこと言って、捕まって楽になろうとか思ったんじゃありませんか?」
被「そんなことありません。前も捕まって、留置所で非常に辛いを思いをしてますので、絶対に逃げてやろうと思ってました

なんでこの人、そんな犯行ヤル気満々アピールしてんだろうな?別に仕事の面接じゃないんだから、ヤル気のアピールとかいらんけどな。まぁ本当のことを言うのは結構なことだけどね。
だとしたら、やはり気になるのはなんで通報してもらったのかということ。

検「でもあなた、逃げるチャンスはあったであろう店内でわざわざ入口近くで店員を呼んでまで警察に通報してもらってますよね?これはどういうことなんですか?」
被「その...店に入ったときは逃げてやる逃げてやると強い気持ちだったんですけど、お酒を飲んでいく中で、




なんだか疲れちゃってどうでもよくなっちゃったんですよね」

なんだテメェ。それまでのヤル気はどうしたんだよ。
すると法廷内でも不思議な現象が。

検「でも、あなた逮捕されたくなかったんでしょ?事前に逃げられる店まで調べて、逃げようとしてたんじゃないの?
被「でもお酒を飲んで眠くなってしまったのと、店内が暖かったのもあってまた寒い路上に戻る気力は失われちゃってました
検「だいたいなんでお酒飲んじゃったんですか?お酒飲んだら、そうなることも想像できたんじゃないですか。逃げようと思ってたんでしょ?
被「なんか今改めて聞かれると、どこまで本気で逃げようと思ってたのか曖昧になってきましたね。捕まった方が楽という思いもあったかもしれませんね」

それまで、わざと逮捕されたいがための犯行であると主張していた検察官とそれに反抗する被告人だったはずなのに、何故か立場が逆転することに。
そして最終的には、

検「結局あなたなんなんですか。捕まる気があったの?なかったの?」
被「もう、最初から逮捕されるつもりだったってことにしましょう、はい

と完全に投げやりに。もうどうでもいいよ。
検察官、ここは怒ってもいい場所でしたけど、心底呆れたような表情を浮かべ着席。
次は裁判官からの質問。

裁「で、あなた結局、逃げる気だったの?捕まる気だったの?

だー、もういいってその話は。もうお腹いっぱいで眠くなってきたから。




ってか本当に逃げる気あったんなら酒飲んじゃいかんよな。足もふらつくだろうし、そんな状態で寒空のもと寝たら本当に命が危ないし。そしてなにより決意が揺らぐ
ちなみに僕個人の話をすると、明日までにやらなきゃいけない仕事がまだ終わってないのは、明らかに酒のせい。お酒は人の決意を揺らがせる危険な飲み物だよホント。