まぁ20代半ばなら酒飲む金欲しさに人の金に手をつけてもしゃーないっすよね

傍聴No.84
事件:窃盗 概要)バイト先のロッカーで人の財布を盗む
被告人:20代半ばの男性
傍聴席:1人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


学生時代はずっと実家住まいでして、社会人の二年目に家を出たので一人暮らしは三年目。あぁもう三年か...。
初めのころは出費のことなど考えず使いまくっていたので、実家住まいのときの貯金がまぁ無くなること無くなること。さすがにもうそんなヘマはしなくなりましたが、やりくり上手とまではなかなかいきません。まぁ定期的に遠出しているのもあるしね。
でさぁ、じゃあ遠出をなくしたらお金が貯まるのかとなるとそれも違うんだよね。そしたら今度は、おいしいものを食べたいと思ったり、今だとどうしても欲しいアニメのDVDがあるからそれに手が出ちゃうかもしれないし、

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やっぱ魅力というのはいろんなとこに転がっているんでね、お金を貯めるというのは忍耐だなと思いますよね。


そんな訳で、貯金のことを考えると、ホント自分がAKBに興味がなくて良かったと心から思っている「普通」です。
今回もはりきって参りましょう。

被告人は20代半ばの男性。
被告人は自分がアルバイトとして働いていたスーパーの着替え室にて、計10回ほどにわたり他の従業員のロッカーから現金38万円相当を盗んだ疑い。

今回の被害金額38万円ですが、前述の通り複数回で盗んでいたことと、1人からは1度では最高1万円までしか盗まなかったとのこともあり発覚はかなり遅くなったようです。
被告人は大学在学中からずっとこのスーパーでバイトしていたとのことで、みんなが休憩に来る時間を把握していたり、部屋に近づいてきたら足音が聞こえるなどの条件で犯行を行ったとのこと。珍しく色々と計算をしたうえで犯行を行った人といえるでしょう。このブログで取り上げる人はおマヌケさんが多いですからね。
被告人には借金がありました。てっきりその借金の返済のための犯行かと思ったのですが...詳しくは被告人質問で。

弁「今回、起訴されている内容について、全て被告人が行ったということで間違いありませんか?」
被「はい、間違いありません」
弁「今回どうしてこんなことをしてしまったのですか?」
被「岐阜に母がいるんですが、母に仕送りをするためです

これは初めてのパターンだ。
以前、故郷に仕送りを送るために不法滞在を続ける外国人という裁判は見たことあるけど、その仕送りそのものが窃盗品ってのは初めてだな。どっちかというと、家の子どもに食べさせるために食材を盗んでいたおばさんの事件に近いのかな。これ紹介したっけな?してなかったらそのうちに。
で、こっから弁護士による質問が長いし、なんか言い訳交じりで話すから長いんで要約すると、

  • 被告人は大学に通うため岐阜から上京。
  • 大学卒業はしたものの就職することができずアルバイトを続ける。
  • 何故か実家には就職が決まっていると嘘をつく
  • 就職決まったって嘘ついちゃったので学生時代のように仕送りはないし、逆に家はそんなに裕福じゃないから仕送りを送ることを決意
  • 自分の財布の中あぼーんで人の財布に手をつける。

なんかリストラされたことを言い出せずに、朝普通に家を出て公園で鳥に餌をやってる人みたいな嘘のつきかたしてますね。
僕はね、実家にいたときはお金入れてましたけど、家出てからは申し訳ないけど実家にお金入れてないですよ。それをアルバイトの人がやる。しかも求められている訳でもないのに。これが犯行の言い訳になるとでも?
ちなみにお給料は月だいたい10万円、家賃が5.5万円、親へは2万円送っていたんだと。ものすご〜く日々の出費を節約すれば生活できるかもしれないけど、結局そうはいかず借金をすることになったわけだ。


じゃあお次は検察官からの質問ね。

検「どうして実家に嘘ついてまで東京での生活を続けなきゃいけなかったのですか?」
被「岐阜の実家には、どうしても心配かけたくないという気持ちがありまして」
検「でも、心配かけないためにの結果が犯罪を犯したっていうんじゃ元も子もないでしょ」
被「はい、すみません」
検「実家からは仕送りが欲しいという希望があったのですか?」
被「いえ、ありません。岐阜の実家には自分で送ると言いました」

この人ね、何故か必ず頭に「岐阜の」ってつけるんだよね。別に両親が離婚したとか、両親別々に暮らしているとかじゃないらしいんだよ。
もはや枕詞みたいなもんなんだろうな。「母」ときたら「たらちねの」と言うような。「実家」ときたら「岐阜の」なんですよ。「ミタ」ときたら「家政婦の」だし、「おやじ」ときたら「俺は、中小企業の」なんですよ。

俺は、中小企業のおやじ

俺は、中小企業のおやじ

俺、この手の本は読まないんだけど、いつも書店で見るたびなんでこんな顔してんだろって気になってたんだよね。読んだ人の感想待つ。


まぁいいや話を戻しましょう。

検「まぁそれはいいにしても、あなた窃盗という罪を犯したわけですし、借金まで背負っている。それでもなお、家に帰るという選択はできなかったのですか?
被「岐阜の実家に帰って、親の迷惑になりたくないという気持ちもあり...」
検「でもね、あなた借金っていってもね、


500万円もありますよね。どうやって返すつもりなんですか?」

俺、ここビックリしちゃった。いやもちろんその収入じゃ生活できねぇだろうからさ、借金したってのはまぁまだギリでわかるにしても、ちょっとした生活費の足し程度だと思っていたんですよ。
何ガッツリやっちゃってんの?やりくり下手くそ過ぎるだろうが。

検「あなたね、バイト代を普段何に使ってたの?」
被「友人などの誘いもあり、飲みに行ったり、競馬に行ったり


もうお前みたいな奴は帰れ〜!!
これ勝手な想像だけどさ、就職できなかったとか言ってるけど、単に遊び呆けてて就活やんなかっただけなんじゃねぇの。俺はそう思うな。
もう相当に呆れちゃったんだけどさ、最後弁護士による最終弁論っていう裁判官への意見を述べるところでこんなこと言ってます。

弁「今回の犯行は実家の両親に仕送りをするためということであり、汲むべき事情はあるかと思われます。…(途中省略)…また、被告人は25歳という年頃であることなどから、友人などの交友関係を乱さないためにも飲食などにお金を費やしてしまったのであり、やや致し方ないという点も否定できないのでございます」

君は正気かね?
こういう情状酌量を求めるポイントが明らかに的外れな人にごく稀ですが当たることがあります。こんな人でも弁護士になれるんですから、もっとまっとうな世の弁護士志望の方はもっと自信を持って勉強に励んで下され。