痴漢に遭う以上に運の無い女性
裁判No.23
事件:「公衆に著しく迷惑をかける暴力行為等の防止に関する条例違反」 概要)痴漢行為
被告人:40代前半の男性
傍聴席:1人
裁判の中身は「続きを読む」からどうぞ。
あれ?今、すれ違った人だれだっけ。あ〜誰だっけ誰だっけ、すげぇ気になる。絶対、ここ数日で会ったはずなのに……。仕事か?家の近くのコンビニの店員か?……あ、裁判長だ!
そんな平日の一コマ、「普通」です。
今回もはりきって参りましょう。
今回ちょいと長くなっちゃったけど、勘弁してね。
前回の傍聴記でね、わいせつ行為を行った被告人に対してね、今まで何を生きてきたんだ、と。とにかく、なにがなんでもやったらダメなんだよ、と。わいせつ事件ふざけんなよ、と。
まぁ生意気にも説教じみたことを言ってしまったわけですよ。
……
……
でもね、ゴメン。同じ、わいせつ事件でも今回の被告人には全く怒る気になれないっす。
被告人は40代前半の男性。
電車の中で座っていた被告人は、目の前に立っていた女性の胸をもむという行為を行った疑い。
以前もさぁ、「究極のイエスマン」って回でも言ったんだけど、なして胸なの?という疑問ね。
痴漢のイメージってさぁ、やったことないからイメージだけだけどさぁ……やったことある人は自重してくださいね、満員電車の中でもうすでに体が密着しているような状態で、あれ、これお尻に手が当たってるだけなのかな?それとも触られてる?……やっぱり、触られてる!テメェ!ってなイメージなのね、僕の中ではね。
胸だとさぁ、どう考えたって犯人丸見えじゃん。別に、うまくやれよっていう訳じゃないけど、意味がわかんないってことね。
それと今回の件で異例なのが、別に満員電車ではなかったということ。
座席は埋まっていたらしいんだけど、立っている人はちらほらいるだけだったらしいんです。これこそ、犯人丸見え。では、どうして被告人はこのような犯行を行ってしまったのか。被告人は、警察に対する取り調べの中で、このように供述したそうです。
「被害者と意思の疎通があったから」
意思の疎通!?胸触りますけどいいですか?はい、どうぞ、ってこと?まぁ、この言葉だけじゃわけわからんでしょう。
ここから一気にいきますからね、ついてきて下さいね。
弁「あなた事件の状況について警察の人に聞かれたとき、「意思の疎通があった」って答えますよね?これってどういう意味なんですか?」
被「事件のとき、電車で寝ていて、起きたら目の前に女性が立っていました。その女性はとても魅力的で、それと胸元の開いた服を着ていて、私はその胸元をちらちら見ていたんです」
弁「そのとき、あなたは触りたいという気持ちでその女性の胸元を見ていたのですか?」
被「最初からそう思っていたわけではないと思います。でも、ずっと見ていたことは事実ですし。すると女性は、私の視線に気がついたのか、胸の前で腕を組むような形をして、よく胸が見えなくなってしまったのです」
弁「腕を組むというのは、具体的にどういうことですか」
被告人の説明によると、右手で吊り皮を掴んで左手は宙ぶらりんだったそうなのですが、その吊り皮を離し、まさしく腕を組むような形。夜遅くに家に帰ったら、お父さんが玄関で大層おかんむりで立っているときの格好だね。ちょうどTOP画。ちなみにTOP画は僕じゃなくて拾いものね。
ってか、電車の中で吊り皮に掴まらず、仁王立ちしながら揺れに対してバランスとってる女性がいたらそれはそれで面白い気がするけど。
弁「そして、あなたはどうしたのですか?」
被「私が見ていることに気付いたのかなと思ったので、別のことを考えようとしました。でも、どうしてもその女性の胸が頭によぎるんです」
中学生じゃねぇんだから。どうしてもって……。
被「で、私は下らないことを考えてしまったのです。女性が腕を組んで胸を見えなくしたのは、私が胸を見たい見たいという気持ちを読まれてしまったのではないかと」
はぁ!?気持を読まれたって……さっき視線に気づかれたってとこで完結したんじゃないの?
ただね、僕この被告人に多少同情してしまうのが、被告人電車で寝てて、不意に起きての犯行でしょ。多分、ぼんやりした頭でやっちゃったと思うんだよ。
僕も電車で爆睡してて、先輩に夢の中で悩みを聞いてもらってたのね。で、ぱっと目が覚めて、夢と現実の区別がつかなくなって、隣に座っていた女性に「ありがとうございました」って言っちゃったことがあるのね。恥ずかしくて死ぬかと思ったよ。
そこで、僕が寝ぼけて胸なんて触ろうものなら、僕も今頃この被告人と同じく懲役8月、執行猶予3年の執行猶予中ですよ。
被「なので、どうせ心が読まれているのなら……」
あ、まだ「心が読まれている」設定続いてるんだ。
どうぞ、続けてください。
被「もう二度と見ようと思いませんから、最後に一度だけ、私が心の中で三秒数えたら、一瞬だけ腕をほどいてください、と心の中でお願いしたんです。そして私が心の中で三秒数えたら、女性が腕をほどいたんです。そこで、やっぱり心が読まれていたんだ。これは、運命なんだ、だから
触ってもいいんだ
と思い、触ってしまいました」
ちょっと待て〜!!整理する時間を下さ〜い。
心が読まれている……まぁここは納得するとするよ。ここで詰まってたら先進まないしな。
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心の中で腕をほどいてと心の中でお願いする……まぁ、ずっと気になってたんだし、サトラレと思ってんだから心の中でお願いするのは間違ってないよ。
三秒数えたら女性が腕をほどいた……女性、運無さすぎ。バッドエンドにも程があるでしょ。
やっぱり心を読まれていたと思う……それは、そうだね。まぁしょうがない。
触ってもいいんだと思う……良くな〜い!!ここだけ関連性急に無くなったでしょ。調子乗り過ぎ。
被害者だってそりゃあ怒ります。
揺れる電車の中で、吊り皮から手を離して足腰のトレーニング(?)をしてて、疲れたから手を吊り皮に戻したと思ったら、いきなり見知らぬ男に胸を触られるんですから。
弁「被害者の女性は、どうしましたか?」
被「私の腕を掴んで、頬を一回叩きました。私は、頬を叩かれたことでちょっとムッとしたこともあり、言ってしまったんです」
なんて?なんて?
被「お前が1、2、3で胸を見せたんだろうが!!」
今回の痴漢被害者の方、そして今まで痴漢の被害に遭われた経験のある方、本当に申し訳ない。
僕ね、今回の被告人に怒れないです。だって、最後ちょっと笑っちゃったもん。
いやぁ、頭が寝ぼけてたのか、計算なのか、事実なのか、創作話なのか知らないけど、これは怒れないって。「あなたの胸を見たい衝動を感じ取ったわけないでしょ!!」って怒っても、その怒り方むしろ火に油を注いでいるようなもんですって。
僕は、痴漢事件と聞いてキャッキャ騒ぐような傍聴人ではないんで、ちょっと今回だけは怒るの勘弁させて下さい……。