「すき家」のライバルは「吉野家」じゃなくて、「らんぷ亭」

裁判No.50
事件:「強盗致傷」 概要)強盗&怪我を負わすという最悪のコンボ
   「銃刀法剣類所持等取締法違反」 概要)許される理由もねぇのに刃物持ち歩いてた
被告人:40代前半の男性
傍聴席:15人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


学生のときに読んだ本で、今でも頭に残っている話があってね、
マクドナルドのライバルは何だと思いますか?」という問いがあるんだよ。
そうしたら、大半の人はモスロッテリアと答えると思うんだな。まぁ別にファーストキッチンでも、バーキンでもいいんだけどさ。
じゃあ何故そう答えるかというと、マクドナルドをハンバーガー屋として捉えるからじゃん。ならこれを、昼飯業界においてだと答えがすき家になったり、小休止する場と考えるとスタバドトールも現れると思うんだな。
つまりはだ、問いに対して角度を変えれば色々な答えが導かれる可能性があるという話。


そんなこんなで、「裁判に関するブログといえば?」の問いに対して、「Re:裁判傍聴.net!」と強く答えていただけるよう広報活動に勤しむ普通です。
今回もはりきって参りましょう。
2週間サボっちゃって、申し訳ございませんでした。


さて、冒頭の例を今回の判例に照らし合わせてみましょう。

被告人は40代の男性。
無職の被告人は半年前から、友人宅にバイトもせず居候させてもらっていたのですが、その友人も会社から解雇されバイト生活に。
とてもじゃないけど被告人の生活まで見ている場合じゃなくなったため、被告人に家を出てもらうようお願いします

そこで、被告人は犯行に至ってしまう訳です……。

さぁ、ここでみんな考えよう。
こういう状況になってしまい、被告人には帰る場所がない。で、犯罪しちゃいけないんだけど、まぁ結果としてこの人は罪を犯してしまったわけだ。
じゃあ、こういった状況でどんな犯行が考えられる?Let’s thinking time!
……
……
では、一つ一つ可能性を検証していきましょう。


まずは、なんとしても家に居残るパターン
この場合だと、友人を「恐喝」したり「暴行」などを働くことによって、いつまでも居座ろうというケースが想定されますね。
ほかには家を出るパターンというのも想定してみましょう。被告人は頼る家もありませんので、漫画喫茶などに無銭で利用して踏み倒す「詐欺」事件が起こる可能性が想定されます。ってか、このブログでは何度かこの手の人は出てきますし。
さて、色々な可能性を探ってきましたが、では実際に被告人はどんな犯行に手を染めてしまったかと言いますと冒頭にもありますが「強盗」です。


強盗と聞いたら、真っ先に思い浮かぶのは銀行強盗ではないでしょうか?
銀行強盗して、お金を強奪するというのは容易に想像できます。
しかし、今回の被告人が刃物を持って強盗に押し入ったのは銀行ではなく


不動産屋でした。

刃物を持った被告人は、不動産屋さんに押し入り現金15万9千円を強取。その際、店内にいた従業員に対し、刃物で全治一週間の怪我、他の人には頸部の捻挫を負わせます。
その後、被告人は奥の事務所に入っていき、とある棚にあった書類をひたすら盗んでいったというのが今回の犯行内容。

では、盗んだ書類というのは何かというと、


居候先アパートに関する、家賃やら個人情報の書類でした。

弁「どうして、そんな書類を盗んでいったの?」
被「友人が家を出て行けと言うのですが、私としては出たくはありませんので、友人が家賃の支払いから免れれば、私も家を出る必要がなくなると思って

う〜ん、考えの斜め遥か上空を行く答え。
ってか、書類が無くなったところで、家賃を支払わなくていい理屈なんてないがな。それくらいパニくっていたんだなと思えば、

弁「なんで、書類をたくさん盗んだの?」
被「一枚だけだと、疑われると思いましたので」

と意外と冷静。冷静ではあるんだけど、

弁「働こうという気にはならなかったの?」
被「いえ、その気はありませんでした」

とそこは全面否定。
真っ先に「働く」という選択肢が出ても全くおかしくないのに。ってか出ろよ
まぁ多分、変わった人なんでしょうね。だって、

弁「そもそも、どうして犯罪を犯すということが頭に浮かんじゃったの?」
被「それくらいしてまで、家を出たくないんだという友人に対しての意思表示の意味もありました

とか言ってんだからさ。
そんなんで怪我させられた不動産屋さんかわいそうだよ。ってか、怪我で済んだからまだよかった(?)けど、仮に亡くなったりして強盗殺人になったら最低でも無期懲役だからね。
この犯行動機で無期懲役とか……。