頑張れ負けるな、新青森駅

裁判No.53
事件：「窃盗」　概要）電車で隣に座ってた人のものを盗る
被告人：40代前半の男性
傍聴席：1人

裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。

新幹線ってすごく好きでさ。電車は全般的に好きなんだけど、新幹線の方が好きだな。
じいちゃん家が三河安城にあるからさ、タラタラとこだま使ってさ、弁当食べながら窓の外の風景を眺めるのが好きだったんだよね。
だからGW使って北海道の友人に会いに行こうってなったときに、裁判所を見に行きたいって気持ちはあったにせよ新幹線使って行くって選択肢はすぐに出たし、九州に行ったときは九州新幹線の停まる駅見て興奮したりもしたしね。

そうは言っても、出張の帰りの飛行機が強風で飛べなくなったせいで、5時間近く電車に乗り続けたのには、さすがにもうお腹いっぱいの「普通」です。
今回もはりきって参りましょう。もちろん、タイトルと記事の内容は一切関係ありません。

犯罪を犯すってことは、かなり大胆な行動だと思うんですけど、その中でも今回のはなかなか大胆な部類に入る…というか後先考えなかった事件。

被告人は40代の男性。
新幹線の3人席の通路側に座っていた被告人。
被告人は、同じ列の真ん中の席（被告人の隣）の男性がトイレに立った時に、座席に置いてあったバッグからその男性の財布を盗んだ疑い。
その列の窓際にも人は座っていたんだけど、外を見てたのね。ちなみに、被害者と窓際の人は友だちで、被告人とは一切無関係。

これさ二つ、この被告人すげぇなと思うことがあって、まずは外を見ていたとはいえ1mも離れていないところに他人がいるのに関わらず、物を盗ろうと考えたことがすげぇじゃん。
それとさ、新幹線なんて密室みたいなもんじゃないですか。財布まんま盗んだらさ、途中で気付かれたときにどう誤魔化すんだっていう。中身数枚を抜き取るとかならまだしも。
トイレに行ってる間にやっていいことなんて、崎陽軒のシューマイ弁当のシューマイを全部食っちまうか、新幹線の切符と同サイズの付箋をキップの裏に貼ってクスクスするくらいでしょうよ。まぁどっちも後輩にやって、どっちも後輩にぶん殴られましたけれども。

で、さらにこの事件で面白かったのが動機の部分なんだな。

弁「今回、人の財布を盗ってしまった訳だけれども、どうしてそんなことしちゃったのかな？」
被「もちろん、悪いことだとはわかっていました。しかし、隣の二人が大声でずっと話し続けていたものですから、非常に迷惑に思いまして少し懲らしめてやるような気持ちでやりました」

一言、この被告人に言いましょう。
や・り・す・ぎ！
まぁ確かにね、すごいうるさかったのかもしれないよ。でも、話を聞くにどうやら一度も注意もしていないみたいなのね。思い立ったが、即窃盗なのよ。順序おかしくね？まぁどう順序立てても、窃盗はいかんのだけど。
なんか、この前ちょっとニュースになってたけどさ、オッサンがすき家で牛丼食べて会計のときに1000円を出したら店員がお釣り渡すの忘れちゃって、オッサンもお釣りをもらうのを忘れたことに気付いて、その店じゃなくてツイッターですき家の本部に直接クレームつけてた奴思い出しちゃった。順序おかしくね？っていう。

まぁ正直、動機として成り立ってないと思うんだけど、弁護士はそれでゴリ押し。ただ、それで納得がいかないのが検察官よ。

検「あなたね、懲らしめてやるつもりで盗んだとか言ってますけどね、本当にそうなんですか？もともと盗んでやろうと気があったんではないですか？」
被「いえ、そんなつもりはないです」
検「そもそも、あなたどうして事件の日、新幹線に乗ってたんですか？」
被「実家から帰る最中でした」
検「本当にそうなんですか？なにか物を盗る気で新幹線に乗ったんじゃないでしょうね？」

いるか、そんな奴。
物を盗りたいがために、新幹線乗るとか、さすがにそれは自爆すぎるだろ検察官よ。

検「また同じことを聞くようですけれども、あなたの本来の窃盗の目的はお金が欲しいということではなくて、懲らしめてやろうという気持ちだということでよろしいですか？」
被「はい。お金目的ではなくて、本当にちょっと痛い目を遭わせたかっただけなんです」

もういいじゃんよ。
そりゃあ俺もそんなんで盗みました（キリッ、とかやられても納得できないよ。でも、そうじゃないっていう証明ができないんだったらさ、それはあなたの一意見として心に留めておいてあげるからさ、諦めようぜ。
と思ってたら、

検「ところでアナタ、借金が150万円ほどあるみたいだけど…」

アウトー!!まだ間に合うなら、被告人の今までの発言全部ダウトを宣告したい。
なにが懲らしめるつもりだっただァ？何が、お金は盗ったけど、借金に充てるものじゃないだと？
いや、むしろ充てろ。やったのは悪いことだけど、それくらい借金返済に真剣になれ。

なんだよ〜、せっかく珍しいシチュエーションの窃盗にプラスして、訳わかんない動機ですげぇ裁判だとか思ってたのに。
ちなみに事件の発覚は、特急券の確認に車掌が来たときに被害者が財布無いことに気付いたらしいんだけど、その時被告人は盗んだ金でビールを飲んでいい旅夢気分になってたんだとさ。

俺、コイツの親だったら、法廷でみんなが引くくらい「こんなバカを育ってしまって申し訳ありませんでした」って土下座すると思うよ。