家が狭いから放火魔放置

裁判No.59
事件:「脅迫」 概要)借金返済の催促に暴力的な手を使う。
被告人:30代後半の男性
傍聴席:7人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


今でも思い出すんですけど、小学校のときに好きだった女の子となんとか接触を持ちたくてねぇ、その子が持っていた金田一少年の事件簿を借りて初めて読んだんだけど、すごくはまっちゃってね。それ以来、漫画や小説でもなんでも推理物ってのは好きでして。
当然のことながら、それらの犯人ってのは簡単に自分から犯行をゲロったりはしませんので、主人公サイドは食い下がる犯人を黙らせる証拠を用意しなきゃいけません。
僕の「推理系物語内、好きな女の子ランキング【犯人編】」でトップを10年以上キープしている「電脳山荘殺人事件」に出てくる

金田一少年の事件簿〈3〉電脳山荘殺人事件

金田一少年の事件簿〈3〉電脳山荘殺人事件

アガサちゃんなんかも最後の方は狂ったように「証拠よ、証拠!」とだいぶ連呼してましたし。
不確かだけど、自白だけじゃなくて証拠もないと裁判って起こせないんじゃなかったっけ?まぁ創作物に関わらず、犯行の証拠を求めるというのは一苦労なのであります。


そんな訳でして、初期の「金田一少年の事件簿」は大好きだけど、最近の金田一は批判ばっかしているいわゆる懐古厨の「普通」です。
今回もはりきって参りましょう、じっちゃんの名にかけて!!


被告人が日本語を解さない人で、裁判に際し通訳が立ち会う裁判はいくつか紹介してきました。今回も通訳同席なんですけどいつもと違いまして、手話通訳の裁判でした。
つまりですね、今回の被告人は耳が不自由な方なんですね。これ僕にとって初めての経験でして、まぁ通訳なんで当然なんですけど質問等々のときはもちろんのこと、検察や弁護士が調書を読んでいるときも常に手を動かして通訳していたのでかなり大変そうでした。
では、裁判の内容、

被告人は30代後半の男性。
被告人は被害者男性を脅迫しようと企て、被害者宅のFAXに「○○(被害者の名前)容疑者の自宅を爆破」「○○容疑者、殺す」「死ね死ね死ね」などと書いたFAXを数枚送った疑い

まず最初に言わせてください。
僕、差別表現とかすごく嫌いですし、逆に過保護的な表現も嫌いなんですよ。ただ事実なんで、言わせてもらいますよ。
この被告人ね、耳が不自由で、言葉を発することも不自由なんです。だから、脅迫という行為をするためにFAXを使ったんだけど、


FAXはねぇ、証拠が残るんだよ…
ほら、よくドラマとかでさストーカーの被害を立証するために証拠はとっておけみたいなこと言うじゃんか。その重要となる証拠を自らバンバン提供しちゃってんだよな。
しかもご丁寧にも、手書き自分の家からFAXしてたみたいなんだよね。履歴も残るしさ、それで、「死ね」はないって。これは残念だけど、被告人が身体に障害を持っているということで生じてしまった突っ込みポイントなんだよね。
そもそも、なんで脅迫をしたかというと、被告人が被害者に対してお金を貸してたのを全然返してくれなかったんだって。そんで、なかなか返してくれないもんだからってことで脅迫したんだって。だから、それで、「死ね」はないって
それに対して、被害者のコメント

害「約5年間にも渡り脅迫を受けていた。障害者とはいえ、このようなことをする被告人を許すことはできない」

「障害者とはいえ」ってどういう表現だよ、この被害者もよぉ。
あのさぁ、犯罪を犯している人に対して障害者か否かというのは関係ないからね。ってか、裁判では正直曖昧に終わっちゃったんだけど、たぶんこの被害者も被告人にお金は返してないみたいなんだよ。それでこの言い草はあんまりといえばあんまり。


もういいや証人尋問に移ろう。
証人は、被告人の元お母さん。元っていうのは、被告人の両親は離婚しているのね。んで、被告人は父親に引き取らしいんだな。

弁「被告人と会ったのはいつぶりですか?」
証「被告人が小学一年生のときに離婚して別れて以来です」
弁「ただ最近は携帯電話でメールをしているそうですね。いつからですか?」
証「二年前くらいからです」
弁「どういった内容のメールをするのですか?」
証「朝にこれから仕事行きますとか、これから帰ります程度です

業務連絡か。
ってかどんな関係よ、この人たち。別に高校生とかだったらさ、別れた子どもとは会わせないけどメールなら許す的な話ならわかるのよ。でも被告人も30代後半だからね。それを小学一年生のときから会ってなくて、メールを二年前に急に始めて、連絡は業務連絡程度。
たぶんコミュニケーションはとってますって趣旨だとは思うんだけど、正直意味はよくわかんない問答だったな。しかもさ、

弁「いつかは被告人と一緒に住みたいと思ってるそうですが?」
証「はい、被告人をしっかり監督していきたいと思います」
弁「すぐには無理なんですか?」
証「今は部屋も狭いんで…

とか言っちゃってんのよ。
息子なんだろ?一緒に暮らす気あるんだろ?だったらさ、あんたの今の暮らしぶりは知らないけどさ、早いとこ一緒に暮らす準備してあげなよ。
言ってなかったけど、被告人実は放火の前科も2犯あって結構恐いんだわ。そういう意味でも、早いとこ一緒に暮らしてちゃんと監督してくれよマジで。
被告人もその後で、40歳間近にもなって親と住んだりして迷惑かけられないとか言ってたんだけど、もぉそういうどこから突っ込んでいいのかわからん答えはいいから、親と住んで更生しろって。