その日の仕事はその日のうちに

傍聴No.80
事件:詐欺 概要)所持金持たずに漫画喫茶
被告人:50代前半の女性
傍聴席:1人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


いきなりですが、まずこの記事をご覧になっていただきましょう。
FP「漫画喫茶はお金の無駄」 借りてきたほうがお得と計算


そんな値段の検証なんていらないですよ。それくらい知ってますし、ドリンクで元をとろうなんて思ってないですから。そりゃあ家計を節約したい人にとっちゃ無駄なお金かもしれないですけど、あそこでマターリとする時間の良さってのもあるじゃないですか。じゃああんた、家で作ればいいって言って喫茶店行くのはお金の無駄というのかね。
漫画を読むスペースとしてもそうですし、パソコンで作業したいときだったり、終電逃したときの簡易ホテル的な役割だったりさ。
個人的な話をすると、松戸のマンボー船橋のエアーズカフェはだいぶお世話になったなぁと東京を懐かしんでみたり。




ちなみに漫画喫茶で読む個人的なワン・ツーは名探偵コナンドラえもんの「普通」です。何故なら買うつもりはないんだけど、とりあえず目は通しておきたいから
今回もはりきって参りましょう。




まぁちょろっと冒頭でも話しましたけど、我々が漫画喫茶に過剰な要求をしているのか、それとも漫画喫茶側が客取りのために過剰になったのかどっちが先かはわかりませんが、漫画喫茶=漫画を読むところというものでもなくなってきたわけです。
このブログによく出てくる住居不定者の方々、まぁ言ってしまえばホームレスの方々にとっては、なんかぼんやり暗くて寒さをしのげて眠れる場所として重宝しているという部分もあります。

被告人は50代の女性。
被告人は所持金が18円しかないにも関わらず、漫画喫茶に入店し代金を支払わずに店外に出ようとしたところを捕まったという事案

まぁ事件自体はそれほど特筆すべきところもないですね。今回の事件で最もマヌケだったのが発覚の仕方。
朝の5時ごろを狙って、店外から出ようとする被告人。なぜならその時間に出れば、朝まで時間潰すのもすぐだし、レジに人が張り付いてる時間帯でもないですし。
ただ、入口のドアが開けば入店のベルが鳴る仕組みだったようで、レジに人はいなかったものの猛ダッシュする被告人。そして、まさかのビルを出るためのエレベーターを待っている最中に捕まるという...。



まぁ詳しくは被告人質問で聞いてみましょう。しょっぱなから飛ばします。

弁「今回、どうしてこのようなことをしてしまったのですか?

非常にスタンダードな質問ですよね。みんなここから聞くと言っても過言ではありません。それに対して被告人、

被「階段での降り口が見つからなかったんです...

ん?
ちょっと暗号解読犯の方、至急お越しいただけないでしょうか。それとも俺の日本語能力が低いのか。いやいや、弁護士もよーわからんって顔してるぞ。

弁「ん?ちょっと待って下さい被告人、もう一度聞きますけど、どうして今回このようなことをしてしまったのですか?」
被「ですから、階段で逃げていればよかったんですけど、それが見つからなかったのでエレベーターを待っていたんです、そしたら捕まっちゃったんですよ

コイツ、質問を3段階くらいすっ飛ばしやがったな。やっと理解したわ。
弁護士は犯行の動機を聞いているのに、被告人は捕まった経緯を話しているのね。そんで、弁護士の「どうしてこんなこと〜」ってのが、なんでそんなとこに突っ立ってて捕まってんだよという意味に捉えてしまったわけね。
あ〜なるほどなるほど、よくあるよねそれ〜、






って、ならねぇよ!!
まぁ後々で話進めていく中で理解するに、もう自分は住居不定者として何度も何度も刑務所と娑婆を行ったり来たりしているような身なんで今更動機なんて言わなくてもいいだろ的な感じでした。もはや悟りの境地。

検「あなた、外は寒いし泊まるところもないという理由で漫画喫茶に行ったのですか?」
被「はい、そうですよ」
検「あなたね所持金もなかったようですし、最初から捕まって刑務所に行った方が楽だとか考えていたんじゃないんですか?
被「そんなこと思ってないですよ」
検「あなた今までも何度も刑務所に入っているでしょ。ご飯もあるし、そっちの方がいいとかいう気持ちもあったんじゃないですか?
被「いえ、だからそんな気持ちはありません。例えご飯が出ても、二度と行きたくありませんから」
検「とはいっても所持金も少なかったようですし、捕まること前提だったとしか思えないんですよ」

妙に、捕まりたがっての犯行というのを強調したがる検察官。そんなに量刑に影響あるかなぁ。
そこで、被告人が涙ながらに言いました。

被「行きたくないって言ってるじゃないですか。だから、頑張って必死に逃げたんです!!

必死なのにおマヌケな結果だった被告人カワユス。その頑張りをもっと別のところに活かそうぜ。
それにしさぁ、この人が刑務所に行きたいための犯行でないことを繰り返せば繰り返すほど、もともとお金ないことはわかっているんだから純粋に犯罪する気満々の人ってことで刑務所への道のりが近づいちゃってる気がするんだけどなぁ...。


それにしても、このエレベーターを待っているときの被告人の心境ってどんなんだったんでしょうかね?階数表示が徐々に近づいてくる中、従業員が気付くんじゃないかというドキドキ。まぁ味わいたくはないですね。
感覚としてはあれかな、夜布団に入ったとたん、急にやり残していた仕事のこと思い出しちゃって、ヤベどうしよと思う感じ
そんなこんなで本日は、三連休の初日。休み気分に浸ってないで、仕事のこと思い出して嫌なドキドキ味わってみませんか?