究極のイエスマン

裁判No.8 事件:強制わいせつ 概要)痴漢行為 被告人:20代後半の男性 傍聴席:6人 裁判の中身は「続きを読む」からどうぞ。 どうも皆さん、おはようございます、こんにちは、こんばんは「普通」です。 今回もはりきって参りましょう。 “わいせつオジサン” 僕が、勝手にこう呼んでるオジサンがいます。 別に、わいせつなことをするオジサンじゃないですよ。 東京地裁で裁判を傍聴していて、僕が「わいせつ」関連の裁判に行くと5回に1回はそのオジサンも傍聴席にいるんです。 で、他の事件では、そのオジサンを一切見ないから、わいせつ裁判ばかりを傍聴している“わいせつオジサン”。 考えてみれば、すごい失礼なネーミングですね……。 今回の裁判の傍聴席にも、“わいせつオジサン”がいました。 “わいせつオジサン”は、結構短気。 自分の中で、何か基準があるのかもしれませんが、裁判を最後まで見ないで法廷を後にすることもしばしばで、今回の裁判も途中で帰っちゃいました。 今回の裁判、途中で帰ってしまったオジサンに一言言いたい、 もったいねぇ〜 僕も、途中で裁判を抜けることはよくありますけど、やっぱり見てる側のマナーとしては最後まで見届けるべきだと思いますよ。 まぁ、聞くに堪えないダラダラしたのとか、ヒドいことばっかやってたり反省してなさすぎで気分を害するとか、周りにヤーさんばかりで身の危険を感じる等々の場合もありますけど。 あ、そうそう、よく質問受けるんですけど、こういった「わいせつ」系の裁判って、エロい目をしたオヤジばかりなの?って聞かれるんですけど、意外とですね女子大生、これ多いです。 ただ、だいたいは傍聴の後にめっちゃキレてますけど。 >> 被告人は20代後半の男性。 この人は、深夜、とある駅周辺の路上で突然女性に抱きついて、手指を陰部に挿入したりを数日、数人に繰り返したり、通勤時の電車内で女性の胸をもむなどした疑い。 満員電車の中で被害者に腕を掴まれ、犯行が発覚しました。 << まず言いたいのが、痴漢行為は罪悪だというのは当たり前としても、なぜ胸なんだという疑問がわくんですよ。 だって、被害者からは手の出所が丸見えじゃん。 しかも、胸の高さだと被害者以外からも見られる可能性が高いと思うし。 別に、どこ触れとか推奨しているわけでも、被告人を擁護しているわけではないですからね。 >> 被害者は、 「被告人を厳重に処罰してほしい。電車内で、恥ずかしい行為をされて、電車に乗るのが怖くなって、電車が空いている時間を求め通勤時間を変えた」 と言っています。 << そりゃあ、そうだよね。怒るのももっともだよ。 わいせつ事件の被害者って、今みたいに生活リズムを崩されたって人も多いし、男性そのものを見るのが嫌になるって言う人も多くて、その被害の重大性は、いつも気になる部分です。 では、被告人のほうはどうか。 >> 被告人は、誰もが知ってる某外食チェーン店の店長でして、同期入社の中で最も早く店長に就任、またその店長としての実績も強く評価されていたとのこと。 しかし、外食産業というのはたびたびニュースにもなりますが、労働条件が過酷。 週6日の勤務は当たり前で、週によっては毎日出社、朝は9時に出社して毎日終電近くまで仕事をしていて、そのストレスがたまって今回の犯行にいたったと。 << まぁそれは疲れの理由であって、痴漢の理由にならないよね、そんなの。 考えてみれば、週6日はともかくとして、就業時間なんて僕あんま変わんないよ。 さて、被告人質問。 この人、なんか常にぼそぼそ喋ってるのね。 だから、近くにいる法律家さん達は聞こえるかもしれないけど、ちょっと離れてる傍聴席まで声があんま届いていないんだよね。 >> 弁「仕事は忙しかったの?」 被「はい、休みがだいたい週一で、開店から閉店までいることが多かったです」 弁「仕事上のストレスはたまってた?」 被「疲れもストレスも常にありました」 弁「同棲していた女性がいましたよね?」 被「はい」 弁「具体的にはどういう関係だったの?」 被「結婚を約束していました」 弁「現在は、どうなったのですか?」 被「別れまして、それ以来、一度も連絡をとれなくなりました」 弁「もうこれに懲りて、今回のようなことは二度としませんね?」 被「元婚約者に誓って二度とやりません」 << 多分ここでは、被告人は今回の事件によって、婚約も破棄されており社会的制裁は十分に受けたので、その辺りを刑に考慮してくださいという戦略ですね。 でも、社会的制裁とか「これに懲りて」とかって被害者ぶってるんじゃない? あと結構大事なことなんだけど、再犯しないって元婚約者に誓ってどうすんの? 具体的に現在、どういう仲なのかは知りませんけど、はぁ、そうですかとしか思われないと思うし、だいたい被害を受けているのは元婚約者じゃなくて路上だったり車内で痴漢行為を受けた女性たちなんで、再犯を否定する相手を根本的に間違えています。 “わいせつオジサン”は、この話にこれ以上の広がりがないと思ったのか、ここで法廷を出てしまいます。 でもねオジサン、それはミスチョイでしたよ。 >> 検「仕事は大変だったそうだけど?」 被「はい、ですから休みも週一で勤務時間も……」 検「いやいや、それはわかってるけどそんなの理由にならないのわからないの?」 << 被告人、喋っている途中で打ち切られて、ちょっとビクッとなります。 それから、より一層声が小さくなる被告人。 >> 被「……はい、もちろんです」 検「特に胸をもまれちゃった被害者は、恥ずかしくてもう電車に乗るのが怖いと言っているんです」 << 胸をもまれた被害者って……。 もっと、痴漢の被害者とか言いようがあるだろうに。 >> 検「あなたね、自分がやったことを軽視しているかもしれないですけど、やったことは決して軽くはないんですよ。痴漢行為を決して、軽い行為だなんて思わないでください!」 << 別に、軽視はしてないんじゃね? 自分で軽視していると思いこんで、勝手に怒らないでくださいよ。 まぁ、怒られて然るべきなんですけど。 >> 検「あなた、今は仕事してないの?」 被「解雇されました」 検「被害者に対して、被害弁償とかは考えていないの?」 被「貯金の問題もありまして……、その……新たに職を見つけようと思ってはいるんですけど、このような件を起こしてしまったことで、自分の中でも行動にふん切りがつかなくなってるというか……」 検「そういうことを聞いてるんじゃないんですよ!!弁償金を払う気があるのか、ないのか!YesかNoかですよ!」 << 検察官、大激怒。 そしたら、被告人パニくっちゃって、さらに縮こまりながら言いました。 >> 被「イ、Yes……」 検「ちゃんと、日本語で答えなさいよ!」 << いやいや、これは被告人責めちゃかわいそうだって。 あなたが最終的にYes・Noの2拓を出したんだから。 でもね…… …… これ、完全にツボに入っちゃったんだよね。 いきなり、みぞおちにストレート叩き込まれた感じ?グフッって感じ。 ここまで、普通に怒り先行で来ていただけに、この感情の落差ね。 ただね、傍聴人が僕のほかに5人もいたのに、誰もピクリとも動かなかったんですよ。 これ、僕だけおかしかったのかなぁ……? 被害弁償をpayするかのquestionにYesとresponseした被告人には、懲役二年、執行猶予四年が言い渡されました。 はっきり言って、同じような事件に比べるとちょっと厳しい気がする。 まぁ、いきなり女性に抱きついたり、電車内で胸をもむとかいう、恐らく痴漢業界でもある種おかしな行動が、単なる痴漢じゃなくて、より悪質な何かととられたのでしょうかね。 っていうか弁護士が、具体的な再犯の予防策を練れなかったり、被告人の病気の可能性を示唆できなかったのは、弁護する人間としては配慮が足りなかったですね。 この裁判を見ていた女性2人が法廷を出た後、エレベータの中で、弁護士は女性の気持ちがわからないクソジジィだとずっと大声で叫んでいました。 女性の思いを主張するのは大いに結構ですが、とりあえずこの裁判をどう構成して記事にしようかの考えが僕の頭の中でまとまってから、叫んでほしかったです。 全てとびました。