コンビニに通う女

裁判No.10 事件:「強盗」 概要)風俗店で客を暴行&30万円強取 被告人:30代前半の男性 傍聴席:3人 裁判の中身は「続きを読む」からどうぞ。 どうも皆さん、おはようございます、こんにちは、こんばんは「普通」です。 今回もはりきって参りましょう。 裁判では、事件において起こった事象は漏れなく、こと細やかに説明しなければなりません。 例えば、痴漢の事件であれば、「被告人は、被害者の陰部に手指を挿入し、それを撫でまわし……」といった、文字にしてみるとHな小説でしか出てこないような言葉を正確な状況描写は必要ですので、真顔で普通に法廷で話します。僕が言ってるんじゃないですよ、法律関係者の方が言っているんです。 あと、普段略しているような単語も、正確に表すということにも気を使わなければなりません。 例えば、パトカー。 これって大別すると、白黒パトカー(一般的なやつ)と覆面パトカーに分かれるんだそうです。そんで白黒パトカーも、交通違反の取締り用だと、“交通取締用無線自動車”といい、トロール用だと“警ら用無線自動車”というのが正確だそうです。(Wikipediaより) “警ら用無線自動車”これ、裁判では常識です。 あとはですね……、万引きされた商品を示すのに「○○店○○店長管理にかかる商品○○、時価相当○○円」とか言ったりします。 これも、窃盗という言葉の定義を考えれば当然のことでして、そこで久々登場「mini六法」。 画質悪いな、ちくしょう。 ちなみに今回は、僕の卒業した大学の校門で僕の後輩君に手伝ってもらって撮りました。顔出しはNGでしたが、どうもありがとう。 >> 第235条〔窃盗〕 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以上の懲役に処する。(mini六法2005(平成17)年版、2005年2月8日、自由国民社) << 大学の後輩にmini六法2007年度版を譲っていただけることになりました。それでも古いけど……。まぁそれはそれとして。 つまりは、商品は店の財物である訳だから、その店を仕切る店長管理の財物でもあるってことなんでしょうね。 って、今日は窃盗の話じゃないです。強盗の話。 能書きが長いときは、語りモードにスイッチが入っちゃったときか、裁判にあまり突っ込むところが無いときでございまして……。 >> 被告人は30代前半の男性。 被告人は、風俗店に勤務してまして、店の禁止行為を行った男性に対して、殴る蹴るなどの暴行を加え、さらに被害者の財布から現金5万円を奪い、さらにキャッシュカードから被害者に25万円引き出させ、それを強取したもの。 << では、せっかくなんでね強盗の定義も調べてみましょうか。 今度は、別の後輩君に手伝ってもらって撮りました。顔出しはOKとのことでしたが、ごめん切っちゃった。せっかくの満面の笑顔だったのに。 >> 第236条〔強盗〕 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。(mini六法2005(平成17)年版、2005年2月8日、自由国民社) << 今回、まず判決だけ言っちゃうと懲役3年実刑だったんですね。 六法では5年以上の懲役ってなってるのにと思いますけど、情状の部分で減刑されることがあるようです。 さて、被害者の行った禁止行為というのは、いわゆる避妊具なしの性行為。 被害者は、事件当時の状況を取り調べにおいて、 >> 「本当です!受付では、女の子が同意したら、(避妊具を)つけなくてもいいと言われたんです、本当です!信じてください!と言ったのに、被告人は私の言うことには全く耳を貸さず、顔面や腹部などを殴る蹴るなどの暴行を加えてきました」 << と供述。 これさぁ、こういう風に実際に言ったんだろうけど、前半部分は裁判とは関係なくね?リアル過ぎてかわいそ過ぎるんですけど……。 まぁ、何も僕もここで公開するこたぁないんですけど。 被告人の話をしますと、 >> 被告人は高校卒業後、いろいろな仕事を転々としたのち、約半年前からこの店で働きだします。 最初は、お店の女の子たちの送り迎えなど一番下っ端だったんですけど、その仕事の実直さから店長やオーナーから気に入られ、今回のような用心棒的な役割にステップアップ(?)したとのこと。 ちなみに、その店長やオーナーも同じような強盗事件を起こしており、それぞれ懲役7年と懲役6年の判決がすでに出ています。 << 被告人が彼らより刑が軽かったのは、まぁこの店長やオーナーの従属的な犯行であったこと、雇われている身としては反抗をしづらかったと思われる点、今回の犯行によって被告人は1円も手にしていない点、そしてこの被告人が素直に反省の弁を述べているところでしょうかね。 とにかく、被告人はハキハキと喋るし、真面目さも伝わってきますし、正直このような犯罪を犯した人には見えないんですよ。 悪い事じゃ決してないんですけど、被告人が真面目過ぎるんで、今回の裁判、没ネタにしようと思ったんですよ。 それでも、一応ブログに投稿されているということは、なにかしらあったというわけで。 まぁとりあえず、被告人質問の模様をどうぞ。ちなみに、弁護士は女性です。 >> 弁「今回の事件、先ほど検察官さんが起訴状を読んでくれましたけど、やったことに間違いはないですね?」 被「はい、間違いありません」 弁「そもそも、あなたが事件を起こした店で働くようになったきっかけは何ですか?」 被「はい、前の会社を解雇されまして、お金もなく困っていたところ友人の紹介で働かせていただくことになりました」 弁「勤務態度は非常に真面目だったそうだけど?」 被「真面目だったかは自分ではわかりませんが、一生懸命働きました。僕には働くしか道が残されていなかったこともありますから」 弁「仕事をしていたのは、風俗店だけ?」 被「いえ、昼間はコンビニでバイトをしていました」 弁「ご両親が病気されていると聞きましたが?」 被「はい、父は3年前に亡くなっております母は昔から心臓が弱くて、今入院しているのですが、入院費用も高くて私が働くしか……」 << このあと、被告人が店長やオーナーに目をつけられていたこと、事件も店長らが後ろで見張っていての犯行だったのでどうしようもできなかったというやり取りが続きます。 どう考えてもやったことは、やり過ぎなんですけど、真面目だという印象が全くぶれないんです。 >> 弁「なるほどね。もちろん雇われている身だから逆らえないというのは理解できなくもないですけど、暴力を奮うということが悪いことだとは当然わかりますよね?」 被「はい、もちろんです。被害者の方には、本当に申し訳ないことをしてしまったと思っています」 弁「そうですね。では、キャッシュカードでお金を下ろしたときのことを伺います。車に乗って移動したそうですけど、そのときも店長やオーナーも一緒だったのですか?」 被「いえ、その時は、店長だけが一緒でした」 弁「なるほどね。そしてあなたは、店舗近くのファミリーマートいわゆるファミマですね、に行ったわけだけど……」 << ん? ちょっと待って、ちょっと待って。 何で今一瞬ファミマって言ったの?ファミリーマートって最初に言ってんだから、それでいいじゃん。 そもそも、この場で使われる“いわゆる”って、使い方として合ってる?僕個人としては、単語の出方は逆じゃないかなと思ってるんだけど。 日本語検定持っている人、誰かこの問いに答えを……。 ここから、僕の頭の中はコンビニ一色にされます。 >> 弁「で、次なんだけど、今度は2kmほど離れたセブンイレブンいわゆるまぁセブンですね、に行くんだけど……」 << だ・か・ら〜、なんでセブンって言わなきゃいけないんだよ! 被告人がセブンとか言い出したら、セブンイレブンって正確な語に修正する係じゃないのかよ。自分から、2拓に増やしてどうすんだよ。 私コンビニ通い慣れてますよ的なこの発言は何の意味があるんだよ。 >> 弁「え〜結局、ファミリーマートで8万円、セブンで……セブンイレブンで10万円、そしてさらに今度はさらに1km離れたampmで7万円下ろしていますね」 << ん〜、そこは、エーピーって言わないのかよ。さては近所にampm無いな。 僕の会社のビルには、ampm入ってますから、大抵みんなエーピーと呼びますよ〜だ。 僕の家の近くには、ファミマとセブンどころか、ナチュナルローソンまでありますもんね〜。 ナチュナルローソンだよ、ナチュナルローソン。どうだ、羨ましいだろ? あれ?今回、何の話でしたっけ?コンビニの話でしたっけ? あ、強盗の話だった。 まぁ、ここからはね、検察官にあんたやり過ぎだろって咎められて、裁判長に再度反省の弁を述べさせられて、って感じで終わるから、ファミリーマートのファの字も出ないんだけど、なんか裁判に集中できなくなっちゃったなぁ。 まぁ、きっと被告人はこれから更生してくれるだろうと期待を持てたからいいんだけどさ。 本当に、弁護士はいったい何でこんなこと言ったのだろう……?