大事なことなので、アヤヤも二度言いました

boutyou-works2009-03-20 裁判No.14 事件:「窃盗」 概要)万引き、窃チャ 被告人:30代半ばの男性 傍聴席:2人 裁判の中身は「続きを読む」からどうぞ。 どうも皆さん、おはようございます、こんにちは、こんばんは「普通」です。 今回もはりきって参りましょう。 例えば、会社なりなんなり組織に属していると、小さいことでも何かしらの矛盾を感じることってあると思うんだよ。で、最初はその矛盾を解消しようと思ったりするんだけど、長いことその組織の中にいると、「これは、もうこういうものなんだ」と自分の中で勝手に納得しちゃうことってない? 僕はある。 でも、やっぱりそれは客観的に見たら矛盾していることだから、周りの人と話していると「それ、おかしくない?」とか言われたりする。何で、それ指摘しないの?とか言われても、「うん、……まぁ、そりゃあわかっちゃいるんだけどさ」と曖昧な返事をする。組織に楯突くのが嫌だとかじゃなくて、なんかもう考えるのすら面倒って思うことってない? 僕はある。 裁判所だって、組織ですからそういうこともあります。 >> 被告人は30代半ばの男性。 被告人は、DVD販売店にてDVDBOX1箱(時価1万8千円相当)を窃取。また、路上に停めてあった自転車(時価8千円相当)を窃取した疑い。 被告人は、窃盗、窃盗未遂の前科2犯があり今回は執行猶予中の犯行でした。 犯行後、被告人がそば屋で食事しているところ、犯行を目撃し尾けていた店員が、そば屋に入ったところで通報、逮捕となりました。 << 裁判では、一番初めに人定質問というのがあります。 起訴されている(事件を起こしたとされる)人物と、今、法廷に立っている人物は一緒かどうかを確かめる作業です。名前、生年月日、住所、本籍地、職業を聞きます。基本的なことです。まぁ、本籍地は結構言えない人いますけどね。 ただ、この被告人、市販の咳止め薬の過剰摂取による依存症があって、記憶が不確かだったり、言葉が途切れ途切れになっちゃうんです。だから、自分の名前を言うときでさえも、「○○だと思います」とか言うし、終始証言も詰まってばかり。裁判もなかなか進みません。 とは言え、裁判は被告人とは関係ない証人尋問へ。 証人は、被告人の実母のお兄さん。お母さんは、入院中だということで、代わりに来てくれたそうです。 罪を犯したのは被告人です。なので、被告人は裁判で怒られることは多いです。しかし、証人も怒られることがあります。それは、なぜか。 証人が被告人の親だったり生活の監督者であった場合、被告人の罪を犯してしまうような意思や環境などは、証人にも少なからず責任があると思われる場合もあるからです。 だから、軽い気持ちで証言台に立ったものの、今まではちゃんと目を光らせてなかったのか、具体的に今後はどうするのかとか厳しく言われたりして、しどろもどろなんてことはよくあります。だから証人がいればいいってもんじゃないんです。でも、いなかったらいなかったで今後の再犯の可能性が危険だとか言われて、結局心証は悪くなるんですけど。 さて、証人は被告人と別に一緒に住んでるわけでもない、被告人の実母の兄。弁護士から無理しても来てくれと言われたんでしょうね……。 >> 弁「今回、どうしてこんなことを起こしてしまったのだと思いますか?」 証「被告人は薬物に依存するようになってから、幻影や現実逃避をするようになったと聞いております」 弁「幻影が見えたりすると、窃盗を行うってことなんですか?」 証「いや、別にそういう訳じゃないと思いますけど……」 弁「薬物、まぁ咳止めですけどね、を飲んでいるときと、飲んでいないときでは、被告人の様子に違ったところはありませんか?」 証「普段はあまり会わないもので、よくわかりません」 << この証人、意味ないんですよ。 証人の方、あなたに怒ってるんじゃないんですからね、弁護士に怒っているんです。被告人の反省の態度や今後の生活について証言しなきゃいけない人なのに普段は関わってないからよく知らないだ、事情もあまり知らんで薬物依存=窃盗みたいに安易に結びつけるわの人を呼んじゃうんだよ。 >> 弁「被告人が今回、起こしてしまったことは薬物が原因ということにどれくらいの比率を占めていると思われますか?」 << 何、聞いてるんだよ。さっき、自分で薬物依存の幻影で窃盗するわけじゃないだろ的な発言してんじゃん。それに対して、証人の答え。 >> 証「よくわかりませんが(そりゃそうだ)、この歳でしっかり治しておかないと、一生がめちゃくちゃになるって一般的に言われてますよね」 << もう全然、答えになってない。一般的どうかじゃなくて、それをあなたらがどうするかが求められてるの。
桃色片想い

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松浦亜弥のこの曲の歌詞に言わせれば「会話になんてなってない」ですよ。急に思い出しちゃった。関係ないのにごめんなさい。 まぁとにかく、さっきも言ったけど証人は悪くないです。この人を読んだ弁護士が悪いんです。 ただ、このような証言でも、証人が証言台で証言したって事実だけで裁判では多少は有利に進むんです。なんだかなぁ……。 さぁ、被告人質問。さっきも言ったとおり、被告人の受け答えは時間がかかります。そこで被告人から、僕にとっては衝撃の発言が。 >> 被「すみません、メモを見ながら答えていいですか?」 << 僕の衝撃わかります?質問ですよ、質問。質問者の問いに対して、回答者はそれに対する回答を考えて答える。その考えるとこ省いたら、そんなのセリフの読み合わせでしょ。 そのメモが事件についての詳細を記していて、被告人の記憶が不明瞭だからそこを補いますってのならまだ、まだですよ、かろうじてわかりますよ。でも、 >> 弁「被告人は、最初からDVDを盗むつもりで店に入ったのですか?」 被「え〜っと(メモを見ながら)、いいえ違います」 << とかいうのもメモ見るようじゃ、被告人独自の反省の言葉が出てくるわけないでしょ。
桃色片想い

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そりゃあ、松浦亜弥だって「会話になんてなってない」って再度登場もしますよ。決められたセリフのやりとりなんですから。なのに裁判長もメモ見るの許可としかしちゃうし。もはや、質問の流れなんていうものは単なる記号でしかないんですよ。これが、冒頭で言った客観的に見た矛盾ね。とりあえず、やっときゃいいんですよ。だって、ここで出てくる反省の弁は被告人の言葉じゃなくて、弁護士がwordで作ったものなんだから。 だから、こんなトラブルも起るんですよ。 >> 弁「DVDをバックに入れたあと、どうしました?」 被「……(メモ)、急いで店を出ました」 弁「それはなぜ?」 被「……、緊張していたし、怖かったからです」 弁「犯行後、そば屋で食事をしたのはなぜですか?」 被「……、釈放中でありながら、多くの人に迷惑をかけてしまい、本当に申し訳……」 弁「あ〜そこじゃない、そこじゃない」 被「あ、……緊張してお腹が空いていたからです」 << 薬物依存がどんなもんか知らないよ。でも、何度も犯行を繰り返している。自分の言葉で反省の言葉も言えない。だったら減刑を求めるのもそうだけど、病院に入れてあげるとかも弁護士としてやってやれんもんなのかね。 怒ってるわけじゃないですよ。だって、「あ〜そこじゃない、そこじゃない」のときは不覚にもクスっとしちゃったんで。