車上荒らし未遂で懲役10年!!

boutyou-works2009-04-05 裁判No.17 事件:「窃盗未遂」 概要車上荒らし未達成 被告人:50代前半の男性 傍聴席:3人 裁判の中身は「続きを読む」からどうぞ。 春といえば桜。といえば花見。しかし、そんな季節の行事も無視して気になる裁判があれば今日もゆく「普通」です。 今回もはりきって参りましょう。 何事もさ、初めてって緊張するじゃん。僕だって、初めて傍聴したときは緊張しましたさ。 でも次第に慣れに変わっていくそこが一番危険なところで、例えば車の免許取り立てって緊張して周りをすごく気にするから事故ってそんな起こらないんだよね。でも、ちょい慣れが入ってくると、注意力が散漫になったりでどうしようもない事故を起こしたりする。 僕も傍聴が慣れてきたかなと思ってきたころ、大変失礼ながら、法廷でうとうとしてしまったことがありまして……。当たり前ですが法廷は居眠り禁止ですからね、裁判長に退廷を命じられました。さすがに、それ以降はそんなことはしていません。
動機 (文春文庫)

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ちなみに、この本は裁判長が居眠りしちゃった話。今回の話とは関係ないです。 裁判を傍聴していると、再犯の人が多いことに気づきます。窃盗とかの軽犯罪といわれるようなものだと特にね。 多分、この人たちも最初の窃盗は緊張したでしょうよ。でも、一度やり始めて慣れてしまったら、辛くなったときに安易にそっちに逃げちゃうんでしょうね。 さて、再犯ということは裁判も数多く経験しているということ。最初の裁判ももちろん緊張するでしょう。では、慣れてくると……? >> 被告人は50代の男性。 被告人は、深夜駐車場でカギのかかっていない車を探し、車上荒らしを企てて入った車には金品がなく、そのまま後部座席で寝ていたところ被害者に見つかったという事件。 << 僕、約3年の傍聴歴で初めてかもしれませんね。実質的な被害がない裁判。 まぁもちろん、車内に金品があったら盗られていたんでしょうけど、運良くなかったから何も被害もなく、カギも壊されたわけでもなく後部座席で寝ていただけ。 万引きの途中、店を出るときなどに捕まる窃盗未遂の事件は何度か見てますけど、それでも警備員が動員されたりしますし、店舗の防犯に対する投資を考えると全くゼロとはいえないしね。 >> 被告人は前科4犯で、全部窃盗。ただ、今回のような車上荒らしは初めてで、今までは万引き。 昨年までを含む2度の刑務所入りを経験。 << まぁ、この人以上に実刑判決受けたことある人はたくさんいますけど、この人も十分犯罪や裁判に慣れてしまった感があります。 >> 弁「今回、逮捕されてどう思っていますか?」 被「もう二度と盗みはしまいと、今は思っています」 << なんでさ、嘘でももうしませんって言えないの。「今は」とか言っちゃうんだろうね。まぁ、そんなこと言う人は、今もしないなんて思っていないでしょうけど。 >> 弁「被害者の方に対しては、どう思っていますか?」 被「そりゃあ、申し訳ないと思ってますけどね……ふふふ」 << おい、お前なんで笑ってるんだよ!!緊張感がないんだよ、緊張感が。お前、裁かれてる最中なんだぞ。 どうもこの人、ヘラヘラして質問はのらりくらりとかわすはで、反省する気は微塵も感じられないし、むしろ反省を訴えたくもないんでしょうね。 >> 弁「何度も逮捕されているけど、どうしてこういうことをやっちゃうの?」 被「両親も年金暮らしで、自分たちの生活で精一杯ですからね」 弁「ご両親の体調はいかがなんですか?」 被「まぁ、あんま良くないみたいですよ」 << 両親が年金暮らしで生活が精一杯、それはわかりますよ。じゃあ、それがあなたの犯罪とどう関係してくるわけ?って話でしょ。 恐らく、ロクに仕事もしないで両親に頼りっぱなしってことだとは思うんですけど、それにしては両親の体調については無関心。50代にして、NEET まぁ、心情としてはこんな感じなのでしょうか。 >> 検「あなた、前に住んでいた家を売ったときに約100万円を手にしましたよね?そのお金を元手に、仕事を探そうとは思わなかったのですか?」 被「そりゃあ、いつだって思ってますよ。でもほら、最近やたら急激な不景気が騒がれてるじゃないですか」 << 時系列を整理しま〜す。この裁判が行われたのは、昨年の12月ころです。確かに、不景気が非常に騒がれていました。しかし、そもそもの事件が起きたのは7月でした。その時は、まだそんなに不景気騒がれてなかったし、それを軽々しく言い訳に使うなっつうの。 そんな簡単に不景気とかいう単語出されると、苦労して就職活動をしている、僕の後輩が不憫で不憫で。 とにかく、この人どんな質問に対しても、軽〜く受け流して裁判における質問としての意味がなされていないんです。完全に手玉にとられています。 最後は裁判長の質問です。お願い裁判長、裁判としての威厳をどうか取り戻してください! >> 裁「10年以内に3回以上、刑の執行を受けると常習累犯になりえます。常習累犯は3年以上の実刑、窃盗罪だと1か月以上10年未満の刑です。ちなみに、あなた今回の件で自分は何年くらいの刑になるかと考えていますか?」 被「(笑)いやぁ、そりゃあわかんないですよ」 << 笑うなよ、真面目に聞いてるんだから。もお、裁判長ビシッと言っちゃってくださいよ。 >> 裁「私はね、10年くらいにしようかと思ってるんです」 被「えっ!?」 << 固まる被告人。後部座席で寝てただけで、懲役10年!?そりゃあ固まるわな。 >> 裁「だからね、あなたの場合、何年か入っておけば、次やっても累犯窃盗にならないんですよ」 被「いやぁ、でも私の場合、親の問題もありますから」 裁「あなた、自分の立場わかってるんですか!」 << そりゃあ怒るわな。また、都合のいいときだけ親を利用しようとしやがって。 >> -検察官は懲役一年六月を求刑。 -弁護士は反省の態度を示しているとし、寛大な判決を希望。 << いつ反省したんだよ。ちゃんと裁判中に反省の弁を引き出せなかった弁護士に辟易としながらも、裁判長から判決。 >> 懲役一年二月未決勾留日数20日を刑に参入*1。 << あれ?検察の求刑より減刑している……。その理由として、厳しく刑の説明もしたから、今度こそは改心してくれることを期待して、だって。 最後に、この裁判長の人の良さが出てしまった……。あの厳しさは、後のやさしい判決のためのフラグだったのか……。

*1:刑が確定するまでに勾留されていた期間を、すでに服役したものとして刑から引くということ。今回の場合、一年二月から20日引いた日数が懲役刑となる