無差別○○の恐怖

boutyou-works2009-04-11 裁判No.18 事件:窃盗 概要)バックとかの泥棒 被告人:30代前半の男性 傍聴席:1人 裁判の中身は「続きを読む」からどうぞ。 裁判を傍聴する度に被告人に同情したり、怒りを覚えてしまうのは、冷静な判断を必要とする裁判員につくづく不向きだなぁと思っている「普通」です。でも、やっぱ普通はそうなりますって。 今回もはりきって参りましょう。 コナンより金田一。 これ、僕の中では揺るがないものでして、皆さん知ってると思われる推理モノ漫画名探偵コナン金田一少年の事件簿の話なんですけど。僕が小学生高学年のころだったかなぁ、ちょうどこれらの漫画も流行りだして、クラスの中でどっちが好きか論争が行われていたんですね。 大多数はコナン派。まぁ小学生ですからね、話も短く登場人物もガキばっかの漫画に親近感でも覚えたんでしょうね。 でも、僕は話が長くても画が上手で、話の伏線の張り方もうまい、そしてちょいちょい出てくる胸チラのサービスショットも手伝ってか、僕は断然金田一派を主張し続けてきたわけであります。下手したら、僕の記事が長いのは金田一のせいかと今勝手に思いました。 あと好きだったのは、舞台の設定ですよね。漫画なんでありがちと言えばそうなんですけど、孤島に閉じ込められるとか、雪山だ、開発途中のリゾート地だ、飛騨の山奥だ、これらの舞台設定に小学生の僕はドキドキしていたんですね。でもまぁ考えてみれば、他者が入り込む余地のない場所での事件ってのは、それだけで犯人が特定されちゃうんですよね。 >> 被告人は30代の男性。 被告人は、東京へ向かう船の上で、乗客の部屋に忍び込みバックや現金等を盗んだ疑い。 被害者が異変に気づき、船員に捜索を依頼したところ、被告人の部屋に被害品がごっそりあったというもの。 << さて、目的地に着くまでに被害品は見つかりましたお金も多少は船内で使ったのかもしれませんが、返ってきました。実質的な被害はないように思えますが、被害者5人中3人がとあるものを被害に遭っているんです。 これが、今回のメインです。ってか、この裁判、ほかに書くことがありません。 >> 弁「で、あなたは鍵のかかっていなかった部屋から、バックだけを持って甲板まで来たと。そこで何をするつもりだったんですか?」 被「バックの中身を確認するつもりでした」 弁「どうして、自分の部屋でやらなかったの?」 被「それは、よく覚えていません」 弁「で、持ってきた5つのバックのうち4つ財布が入っていましたね。その財布を見つけて、あなたは何をしましたか?」 被「お札を何枚か自分の財布にしまいました」 弁「どうして、全部盗らなかったのですか?」 被「それは、よく覚えていません」 << これね、犯行当時、興奮状態にあったからしょうがないのかもしれないですけど、おかしな話なんですよ。財布を盗んで数枚だけ抜き取るというのは確かにあります。でもそれは、財布を返すのが前提で、返してもバレないだろうという犯行なんです。 でも、この人はね、あとで証言するんだけどバック返すつもりはなかったみたいなんですよね。だったら、全部盗ればいいのに。まぁ、大小様々なバックを5個も6個も持って船から下りようものなら、即捕まるのは目に見えてますけどね。 >> 弁「で、あなたね、財布の中身以外に3つのバックから盗んだものがありますよね?」 被「……は、はい」 弁「なんですか、それは?」 被「携帯電話です」 弁「で、あなたはその盗んだ携帯電話をどうしましたか?」 被「海に捨てました」 << そう、被害者3人は携帯電話を海に捨てられてしまったのです。今の携帯電話の普及&依存率を考えると、僕は携帯を無くしたり壊したことないんでわかりませんが、急に携帯をなくすことによる不便ってすげぇあると思うんだよね。そういう意味でね、結果は重大ですよ。 >> 弁「なんで海に捨てたの?」 被「それが、よく覚えていないんです」 弁「本当に海に捨てたの?」 被「はい」 弁「あとでとっておいて、電話とかしようとか思ってたんじゃないの?」 被「いえ、そんなことないです」 弁「最近、違法な携帯電話の売買なんかあるみたいだからね、そういうことに使おうとかいう気は?」 被「そんなことないです。ホントなんです、ホントにただ海に捨ててしまっただけなんです。信じてください」 << よし、わかった、僕は信じるよ。でも一言、言わせてくれ。 お前、すげぇ悪い奴だな。 あのね、犯罪行為はどんなんでも100%悪いことなんだけど、動機の部分で酌量するときってあると思うの。でも、財布云々は別にしても、携帯電話については、「ただ捨てた」って言ってるだけだからね。動機に酌量の余地は無い、というか動機なんてものはないからね。無差別ですよ。無差別携帯捨て魔。 やっぱね、僕、いきなり携帯を壊されるという恐怖をものすごく感じているんですね。だってさ、多分一生連絡とれなくなるやつとかいると思うしさ、アドレス帳の700番台から始まっている全国の裁判所の所在地と電話番号が入ったデータをまた一から打ち直すの?とか考えると寒気がするもんね。 え、コイツの携帯って裁判所のデータが入ってるの?キモくね?っていう突っ込みは一切スルーでいきますよ。あと、電話を盗んであとで電話しようとか思ってたんじゃないの?とかいう、ちゃちぃ犯罪しか思い浮かばなかった弁護士もスルーでお願いします。 ここまで書いて10分くらい考え込んだんだけど、やっぱ携帯壊されるの痛いな。もの自体は復旧するけど、バックアップしてないデータが消えるのはパソコンにしても携帯にしても辛いということがよくわかったね。 携帯依存が激しいくせに、人にアドレスを聞くのには相当の勇気を必要とする「普通」でした。