ツッコミ疲れた弁護士

boutyou-works2009-06-16 裁判No.27 事件:窃盗 概要)スーパーで万引き     暴行 概要)警備員に頭突き 被告人:40代後半の男性 傍聴席:1人 裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。 学生時代に、作文っていうかちょいとした小噺を書く授業(?)ってのがあってさ、そのとき教授に口酸っぱく言われたのが、「話の落ちを最初に持ってこい」と。 TVで漫才とかさ、落語を聞いているとさ、これらって最後まで聞かれることを前提で話を作ってるから、壮大な前振りでも落ちまで見てる人の意識をつなげられるんだけど、こういったweb上の文章だったりすると、つまらないと思ったらすぐポイできるわけじゃん。だからと言って、このブログの記事は落ちが最初に来るってわけじゃないんだけど。まぁ、その辺りが評価されないポイントだとは思うんだけどさ。 裁判を漫才とかと同じ土俵に上げるのはものすごく抵抗あるけど、裁判でもやっぱ最初に衝撃を与えられると最後まで見届けようって気になるよね。 ってなわけで、皆さんごきげんよう「普通」です。今週の日曜、府中で一升瓶を空けて、辺りに死臭を振りまいていたのは僕とこの前サイコロを振ってくれたF君です。 今回もはりきって参りましょう。 ではさっそく、人定質問*1から。 >> 裁「職業は?」 被「今まで、特にお金で苦労したことはありません」 裁「仕事はしていないということですか?」 被「いえ。東京で不動産業を営んでいるのと並行してバイトを2つほど」 裁「起訴状では、住所不定の無職となっていますが……」 被「じゃあ、それで間違いありません」 << おい、コラ!! 話のヤマを最初に持ってこいとは言ったが、いきなりすぎるだろ。じゃあって……。僕の心の中では、この時点ですでにブログに採用内定! >> 被告人は40代後半の住所不定無職の男性。いわゆるホームレスです。 被告人は、西友缶コーヒーと菓子パン2点、計350円相当を窃取。 犯行後、私服警備員にて手を掴まれ、逃走しようと警備員の胸部に頭突きをしたとのこと。 << これをお金に苦労していると言わないでなんという。なんていうアグレッシブさ。 被告人は前科4犯で、全て窃盗罪。 空腹を満たしたいが、持ち金を減らしたくないために窃盗。持ち金あるなら、まずはそれを使え。窃盗を考えるのはそれからだ。 平成20年より公園暮らし。金に困ると、実家の母に連絡をして金をもらって生活していたとのこと。 なんだろう、この不自然さ。親公認のホームレス生活ってこと?なんか、実家は縛られるから嫌だとか言って一人暮らしをするんだけど、食糧とかの仕送りがないとアイツまじで使えねぇとか暴言を吐く、クソ同級生みたいな感じだな。 まぁいいか、あんな奴。んで、そいつ同様、この被告人も相当いい加減。そして適当。 >> 弁「万引きしたという事実は認めますね?」 被「正直、あまり記憶にはないので、ここではっきりそうだとは言えません」 弁「では、争うということなのですか?」 被「別に争いはしないですけど……じゃあしょうがないですね」 弁「しょうがないじゃないでしょ。あなたの人生がかかっているんですよ。やっていないんですか?」 被「う〜ん、確かポケットに入れたんじゃなくて袋に入れたんじゃないかと思うんだよねぇ」 弁「やっぱり、盗ってるじゃないですか!盗ったことを認めるんですね?」 被「いやぁ、記憶がちょっと……」 << お前、ホントふざけんなよ!構ってほしいのか?ガキじゃねぇんだからさぁ、そんな困ったさんで大人の気を引こうとしてるんじゃないよ。 >> 弁「何で警備員に頭突きをしたの?」 被「最初は警備員だとは思わなかったんで」 弁「でも、それは頭突きした理由にはならないでしょ」 被「もし本当に、あの人が警備員だという事実認定がされれば申し訳ないと思う。でも、あの人はいきなり私をホームレス扱いしたり、万引き犯扱いしたりとコンタクトの仕方に問題があったと思う」 弁「でも、実際にあなた万引きしたんでしょ?」 被「ですから、それは記憶があいまいで……」 弁「じゃあもういいです。ちなみに、その警備員さんは亡くなってしまいましたけど(被告人の行為とは一切関係なく、病気にて)、どう思いますか?」 被「それが、もし本当に事実というのであれば、その証明を……」 弁「はい、結構です」 << 切った!質問切ったぞ、この弁護士。なかなかのスルースキル。 そして最後に最終陳述といって、被告人が最後に訴えたいことを述べる機会があります。 被「私は、昨年1月から住居を移し、それまでの嫌な思い出や迫害を忘れて、生活を始めたということをここに宣言します!法廷、しーん。 え、この人何を言っているの?といった雰囲気。 それに対して、言ってやりました裁判長。 裁「あ、はい」 何が「あ、はい」だ!何を理解したってんだ。 まぁ大人ですからね、必要以上に突っ込まず流すということも大事なんでしょうね。いろんな人を見てきてるんだろうし。 そんでまぁ、その代わりに私がこのブログにて突っ込む役を仰せ仕ったわけでございますけどね。だって、こんなの普通スルーできるわけないし。

*1:その裁判において起訴されている人物と、法廷にいる人物が同一人物かどうかを調べる作業。名前、生年月日、住所、本籍地、職業などを裁判官が聞く