サマヨイザクラ―裁判員制度の光と闇(上下)

風の吹くまま、気の向くまま 何を読むかは賽の目次第 裁判博徒の看板背負って 歩いてみせます読書の天地 題して The Book Review 今回、紹介する作品は、 郷田マモラ、「サマヨイザクラ(上下)」(双葉社 計1,238円+税) 内容(上巻裏表紙より): 2009年5月21日からスタートする<<裁判員制度>>。それは、抽選で決まった一般国民が、殺人などの重大犯罪の裁判の審理に参加する制度である。 フリーターの相羽圭一は、裁判員に選出された。ネットカフェ難民となってしまった人生を変えるべく、圭一は法廷へ!! 著者三重県伊勢市出身の漫画家。 1993年に「虎の子がゆく!」でちばてつや賞一般部門大賞を受賞。その他代表作として「きらきらひかる」(1998年TVドラマ化)、「モリのアサガオ」(2008年映画化)など。 と、いうことでレビューは「続きを読む」からどうぞ。 さてそんなわけで、しばらくの間このコーナーをやるのをためらっていたら、どんどんやる機会を失ってしまい、あぁもうどうでもいいやと思いそうになってしまった「一種の引きこもり」型書籍評論コーナー「The Book Review」のコーナーでございます。 いやぁ、それにしてもミスってしまいました。前回、この作品がドラマ化されるって言ったばかりなのに、レビューがドラマに間に合わないばかりか、そのドラマすら見逃すという大失態。そのころは終始、彼女の紹介を徹底してましたからね。 まぁそれはともかくとして、レビューに移っていきましょう。 まぁ人にはさ、好き嫌いってものがあってさ、例えば小説なら話そのものもそうだけど文体や話の構成で好き嫌いってあると思うんだわ。今、社会現象になりつつある村上春樹なんかは、僕としては彼の文章苦手だからいくら話が面白くてもきっと読まないと思うしね。 それを今回の漫画に置き換えるならば、画のタッチコマ割の構成ってことになると思うんだけど、正直に言ってこの人の画、僕には すげぇ不快 ってか、怖い。もうなんていうか、不快さにむずむずしながら読んでいました。 ただね、この作品に関しては、この不快さがマッチしていると思う。これ重要。 裁判員制度ってか、凶悪犯罪の死刑か否かで葛藤するドロドロした裁判の描写においては、この人独特の画の混沌さがより現実味を感じさせるんだな。この本の副題にもなっている、「裁判員制度の闇」という部分がうまく表現されている気がする。 だからこそ、だからこそ、 この混沌とした雰囲気があるのに、ネタバレになるから言わないけれど、こういった形で話を収束させたことにものすごく納得がいかないの。 18話目以降……。まぁね、一つのストーリーとしてだけ見たら、こういった落ちでも全く問題ないと思うんだけど、何度も言ってるけどこの人が作っている混沌な流れ、雰囲気の中では完全に間違った落とし所だと思う。この混沌のまま終わらせてほしかった。 なんか普通の話になっちゃった感じ。この人じゃなきゃ描けなかった結末がありそうなのに、最後の最後で無難な方向へいっちゃった気がしてならないんだよなぁ。そりゃあ、ドラマ化もされるわっていう。 で、そうなるとこの人の画の不快さが異様に際立っちゃって、漫画としてはなんだか読めたもんじゃなくなっちゃうんだよなぁ。 う〜ん……、いや最後のほうとかいいことも言っているんだよ。さっき言った裁判員制度の闇に対して裁判員制度の光の部分についてね。 はい、ここからネタバレが数行青文字にて展開されるんで、嫌な方はとばしてくださいね。 作者が裁判に参加した経験を自分自身に生かすことを裁判員制度の光と言いたいのに、この話の落ちのつけかただと、一般人が裁判に参加することで判決に変わりがあるということが光であると間違った解釈をされてしまうのではないだろうか。 それは裁判員たちのその後の描写が少ないのにも関わらず、話の後半では主人公の推理シーンに終始しているため。 というわけでございます。 まぁホントはさ、色々とネチネチと突きたくなる部分もあるんだけど、この落ちの悪さに全て吹っ飛ばされてしまいました。 あー、あとさ最後に一つだけすごく気になったんだけどオタクの人ってさ、普通に人と喋っているときに名前の最後に「○○タン」とかって言ったりするの? いや僕だってね、ニコニコ見るし、しょこたんブログだって読むし、2ちゃんも見るからそういう呼び方をするのは当然わかっているんだけど、そういうのってわざと言っているだけであって自然と言葉として出るものなのだろうか。 そこがちょっと疑問だったんで、もしわかる人がいたら教えてください。 というわけで気を取り直して、次回の6つの賽の目いってみましょう。 1枠. 阿曽山大噴火辛酸なめ子「B級裁判傍聴記」
B級裁判傍聴記

B級裁判傍聴記

裁判傍聴の大先輩、阿曽山氏の書籍に対して、どれだけ物申せるかにかかっております。 2枠. 高橋ユキほか「霞っ子クラブ 娘たちの裁判傍聴記」 あ、こちらも傍聴の大先輩ですけど、はっきり物申させていただきますよ。ってか、言いたい3枠. チームJ「日本をダメにした10の裁判」 う〜ん、たぶん重いテーマなんだろうなぁ。まぁ少なくとも傍聴記ではないだろうな。 4枠. 石川多加子「『あなたは死刑を宣告できますか』―憲法違反の裁判員制度を断罪する」 あんま否定否定言っているもの好きじゃないんだけどなぁ。まぁたまにはいいでしょう。 5枠. 板倉宏「知ってびっくり秘常識 裁判の「お約束」」 これ読みたい!個人的に興味あるんですけどね、なかなか書店で見つけられないんですよね。 自己推薦枠の6枠.平墳 雅弘「日本初「子ども裁判」の実践―いじめ解決から裁判員制度まで」 これも気になる。多分、実際の裁判とは関係ないんですけどね、ちょっとだけ立ち読みした感じでは面白そうだったんで、早く読んでみたい書籍の一つです。 さて、6枠揃ったところで、今日サイコロを振ってくれるのは、僕のブログの学生時代からのお友達。この前、初めてお会いいたしました「択捉島から沖ノ鳥島まで爆発しろ」の管理人さん爆発くんです。 顔出しOKとのことだったので。 いやぁ、まさかこんなイケメンだったとは……。恐縮してしまいます。 そんなわけで、荻窪駅前のロイヤルホストから参りましょう Let’sサイコロTime!! ドキドキ ドキドキ 1枠〜!! B級裁判傍聴記! というわけで、次回は大先輩に対して、自分の意見をどこまで貫けるかの回となります。 そんなこんなで、自分でいい雰囲気を作っておいて無難な落とし所にまとめてしまった作品より、自分の思いをありのままぶつけるブログ「択捉島から沖ノ鳥島まで爆発しろ」をご覧になることを お薦めです!! ちゃんと決め台詞は忘れやしませんて。