B級裁判傍聴記

風の吹くまま、気の向くまま 何を読むかは賽の目次第 裁判博徒の看板背負って 歩いてみせます読書の天地 題して The Book Review 今回、紹介する作品は、 阿曽山大噴火辛酸なめ子、「B級裁判傍聴記」(創出版 1,200円+税)
B級裁判傍聴記

B級裁判傍聴記

内容Amazonより): 裁判は面白い。 人間は面白い。 ……著者は、スポーツ紙や週刊誌でも裁判ウォッチャーとしておなじみのお笑い芸人(大川興業所属)。今年でなんと、裁判傍聴歴10年目に! その名の通り、詐欺や窃盗、暴行罪など、特に世間から注目されることなくヒッソリ行われている裁判の傍聴記。ここにあらわれる、人間の悲喜劇、人間ドラマを見よ。 漫画家/コラムニストの辛酸なめ子さんとの対談やイラストも収録した、サブカル風傍聴記。 著者(書籍より): 阿曽山大噴火大川興業所属のお笑い芸人。1974年、山形県生まれ。 『創』連載を機に裁判傍聴にのめり込み、いまや裁判傍聴マニアとしてテレビや雑誌などで発言。スカート姿がトレードマーク。 辛酸なめ子: 漫画家、コラムニスト。1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。 本名・池松江美名義では小説やアート作品制作などを行う。 と、いうことでレビューは「続きを読む」からどうぞ。 そんなわけで、心の師匠を前にレビューをするのなんて畏れ多いと思っていたものの、でもやらなきゃ先に進めないと決意させる「大人の階段」型書籍評論コーナー「The Book Review」のコーナーでございます。 今回扱う書籍は、裁判傍聴している人であれば知らない人は恐らくいないであろう阿曽山大噴火さんの書籍でございます。僕が、裁判を傍聴するようになったきっかけの人でもあります。今でも憧れの人の一人です。 もう終わっちゃいましたけど、TBSラジオでストリームって番組があって、その中に「コラムの花道」ってコーナーがあったんですね。これに月一回ゲストとして出て裁判の話をしていたんだけど、これはいいコーナーだった。爆笑問題「CD田中」、伊集院の「ミスチョイ」ってコーナーに並んで、面白いラジオのコーナーBest3を構成していたね。 さて、そんな憧れの人ですが私情を抜きにして、レビューをしていきましょう。 この人の本、過去に1冊だけ読んだことあるんだけど、正直言ってそれはあんま面白くなかった印象があるのね。これを機に読み返そうと思ったんだけど、なんかどっかいっちゃってたんだけどさ。 じゃあ、今回の本はどうだったのかと言いますと…… すっげぇ、読んでよかった。 いやぁ正直ね、こんなよく出来た本だとは思ってなかったんだけど、素晴らしかったです。さすがは裁判傍聴界のキング(今、命名)と呼ばれるだけのことはある。 言ってしまえば、ただ単に裁判の様子を並べているだけなんですよ。ホントにそれだけ。でもねぇ、飽きずにスイスイと読めちゃうんだなぁこれが。 僕が裁判を傍聴した様子をアップするときに絶対に気をつけていることが一つだけあるのね。多分、これはほかの方も気にしていることだとは思うんだけど。 決して不謹慎と思われてはいけない。 裁判の傍聴って国民の権利だから、誰もが見ていいものなんだけど、それは裁判という国の制度をオープンにしているだけであって、犯罪者を単に晒しているってことじゃないわけじゃん。ましてや、大体の犯罪にはそれに巻き込まれた被害者って人がいるわけだから、その人たちの気持ちを不快にしちゃ絶対ダメだと思うんだよね。僕のブログで、それが出来てるかと言われると、出来てない部分も大きいだろうけどさ。 でもこの人の文章はね、被告人を茶化したりするんだけど、決してそういった品の悪さだったり不謹慎さというのを一切感じさせないの。そこが、この人のことを心から信用している部分でして。 文章も面白いし、読みやすい。イメージとしてはですね、僕の普段の傍聴記を3倍面白くした感じと思っていただければ結構だと思います。 さっきも言ったけど、裁判を傍聴していると、不謹慎と思われることも多いんですよ。なんでそんなことするの?と怪訝な顔をされることもありますし。 で、その「なんで?」に答えているのがこの本ではまえがきなんですね。これも僕が言いたいことを言ってくれてますし、それでこの人の裁判に対する姿勢なんかも表れているんで、その後も傍聴記も読む気になるんですね。 なんだか、褒めてばっかりだな。 唯一ね、唯一この本で言いたいことがあるとするならば一点だけ。 共著の辛酸なめ子氏。僕、この人のことも好きですよ。なので、この本が賽の目に当たったとき、この二人がタッグを組んだらどんな面白い本になるんだろうって、軽く興奮してたんですよ。 ただねぇ、その辛酸氏がこの本ではラストの10ページちょっとだけ阿曽山氏とインタビューしているだけなんですね。これは必要あったのかなぁ……?どうせだったら、辛酸なめ子視点での裁判傍聴記も読んでみたかったなぁと思いましたけどね。 まぁ、それはそれとして。 でまぁ、僕はこの人のラジオを聞いて裁判傍聴をしようと決心したんで、この人に影響を受けている部分は多々あります。なんで、多少でも僕の裁判の話を面白いと思っていただける方であれば、この本は読んで間違いないと思います。心の底から お薦めです!! いやぁ、良かったなぁ。正直、こんな推せる本だとは思っていなかっただけに。 では、いい気分のうちに次回の賽の目候補の紹介です。 1枠.日本裁判官ネットワーク「裁判官だってしゃべりたい!―司法改革から子育てまで」 2枠.森達也「死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う」 3枠.長嶺超輝「裁判官の人情お言葉集」
裁判官の人情お言葉集 (幻冬舎新書)

裁判官の人情お言葉集 (幻冬舎新書)

4枠.南部さおり「文系法医学者のトンデモ事件簿」 5枠.井上薫「それでも裁判員、やりますか?」
それでも裁判員、やりますか? (SHUEISHA PB SERIES)

それでも裁判員、やりますか? (SHUEISHA PB SERIES)

  • 作者:井上 薫
  • 発売日: 2009/03/26
  • メディア: ペーパーバック
自己推薦枠の6枠.森達也「死刑 人は人を殺せる。でも人は、人を救いたいとも思う」 どうしても会社の先輩が、読め読めってうるさいんでね。 さぁ、というわけで6枠揃いました。 今回はヤンマガカイジも復活したので、vs兵頭戦でやったみたいに空のティッシュ箱にサイコロを投げてみました。それでは参りましょう、 Let'sサイコロTime!! ざわざわ ざわざわ 4枠〜、文系法医学者のトンデモ事件簿! いい本に2冊連続で出会えるといいなぁ……。