コンビニで最も高額な商品とは

裁判No.36
事件:「窃盗」 概要)万引き
被告人:50代前半の男性
傍聴席:2人


裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。


一応、今回のが今年最後の投稿でございまして……、そりゃあそうだよね、今年最後の日なんだから。
そんな2本も3本も上げる余裕あったら、部屋の掃除でもしますよ。


で、最後にupするのにどれにしようかなって思っててさぁ、ふと思いついたのがね、昔踊る大捜査線という僕があんま好きじゃないドラマがあったんですけど、……まぁ好きじゃなくても見てはいたんですけど。
ちゃんと見もしないで、好き嫌いは語るべきじゃないと思ってたんで。


で、中学生くらいのときだったと思うんだけどねこのドラマ、唯一印象に残ってるのが、正月近くになると軽犯罪を犯す人が増えるってヒトコマがあったわけよ。
住居不定者(端的に言やぁホームレス)が正月くらいは外じゃなくて、例え檻でも室内で過ごしたいとかいう魂胆なのね。
これを見てたときは、へぇ〜こんなこともあるのかと思っていたものですが、裁判を見てると、あ〜普通普通と思ってしまいます。

そんなわけで、今日は檻に入りたいために、罪を犯した人の話。
似たようなのは、過去「裁判No.9」でもやったけどね。


というわけで、大晦日だというのに実家に帰らず、こんなブログを書いている裁判界の親不孝者といえば、私「普通」でございます。
本年も大変お世話になりました。
今回もはりきって参りましょう。

被告人は50代前半の男性。
被告人は住居不定の無職。
被告人は、コンビニエンスストアで約2,000円相当の物を盗んだ疑い。
被告人は窃盗や食い逃げなど前科10犯のもはやベテランの域とのこと。

コンビニでアルバイトしていた人っていますかね?
僕は大学生のとき、大部分をコンビニのバイトで過ごしていたんですけど、まぁコンビニじゃなくてもですけど、だいたい店に一人は定番の万引きおじさんっていない?
うちはいた。


だいたい、定番のおじさんだったりすると、店のバックヤードにおじさんの顔写真とか貼られててさ、要注意みたいな感じになるじゃん。
そうすると、そのおじさんが入ってくると、それとな〜く店員さんも棚整理とかしながらチラチラ見ちゃったりして。
でも、そういうのって見られてる側はわかるんだよね。
だから、警戒しちゃってその場は何も盗らないってのが普通なんだよね。


でも、このおじさんは違います。
見られているからこそ、盗りました
見られていることに快感を覚える、僕の友人のI氏とは別の話です。
まぁ理由は前述の通り、捕まえてほしかったんですな。
しかし、ここで被告人に想定外のことが起こりました。


店長が温厚過ぎたんです。


どういうことかと言うと、もちろん明らかな窃盗行為を繰り返しているわけですから、店長は被告人の首根っこをひっ捕まえて店長室には連れていきます。
しかし、そこで店長は何度もやられているのに関わらず、幾度となく説教と説得を行い二度とするんじゃないよといって、通報もせずに逃がしてしまってたとのこと。


被告人も被告人で店変えりゃあいいのに、その店長のところに行っては幾度となく明らかな犯行を繰り返してたとのこと。
とあるときには、店内で未精算の弁当を食い始めたことがあるとか。
電車内で携帯で喋ってたり、メイクをしたりしてる若者どころの話じゃありません。
ちなみに、僕のコンビニに万引き常習犯がいたときに、店長は僕に対し「見つけたら殺せ」と言ってました、マジで。
僕のバイト先でなくてよかったです、僕だって人は殺したくありませんから。


さて、なんとか捕まえてほしい被告人考えました。
今まで、万引きをスルーされてきたのは、被害金額が少なかったからではないか
高額な商品ともなれば、さすがに軽視できずに通報してくれるだろうと。
そこで、被告人が選んだコンビニで扱っている高額な商品とは、


大五郎4リットルボトル


まぁ最近コンビニとかで扱ってるコエンザイムQ10とかそういうの盗るよりかは、お酒のほうが可愛げがありますけど、高額なもの=大五郎ってのがなんとも。
で、この4リットルボトルをご覧になったことのある方ならわかると思いますけど、めちゃくちゃデカイんですよ。
それを見つかるの前提としても、どうやって店員に盗ってるように見せてたのか小芝居の様子を想像するととても興味深いです。
どうあがいても、あんなデケぇのバレるけどね。


で、まぁさすがに店長としても、こんなに被告人が通報しろとうるさいので、さすがに今回は通報。
被告人も思惑通り裁判にいたったわけでございます。
裁判においても、被告人は当然反省の色など見せず、罪を重くしろ、外に出たらまたやるの繰り返し。
一方で店長にいたっては、警察からの取り調べに対し

「今回、このようなことになってしまったのは非常に残念であり、それ相当の罪をもって償ってほしい。しかし、何度も被告人と話をしたにも関わらず、更生できなかった私にも一定量の責任は感じてる

だってさ。
この優しさ、まさか……生き別れの息子か。
バカじゃねぇのの一言で済ましてもいいんだけど、一つ店長、25歳の若輩者に言わせてくれ。


「人に甘いと優しさは違ぇからな!」


はぁ……、裁判見続けてると、軽い人間不信になっちゃうのかな?
店長優しいのはわかるんだけどね、ときには厳しく言わないとダメよ。
まぁいくら厳しくいっても、この人は治んないんだろうけど。


とまぁ、こんな感じで相変わらず脱線しつつ今年最後の記事を書き終えたわけでございます。
皆様、本年はありがとうございました。
周りが「よいお年を」で済ませているところを「よいお年をお迎えくださいませ」と挨拶しまくっていたら、妙に評価が上がった“普通”がお届けしました。
バイバイ。