痴漢対策は柔よく剛を制す

裁判No.47 事件:「強制わいせつ」 概要)陰茎を露出&触らせる 被告人:20代後半の男性 傍聴席:5人 裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。 罪を犯してはいけない。 そんなことは、いまさら書く必要はないと思いますけど、じゃあ自分がその境遇だとしたらどうしただろうと考えると、ドキリとさせられることがあったりもします。 そんなんだから事件のニュースを聞いて、犯人の境遇があまりにかわいそうだったりすると、妙に世論が犯罪者に同調してしまったり、逆に最近子ども虐待死のニュースが多いですけど、そういう事件に関してはマスコミも含めて犯人フルボッコみたいな形勢が作られたりします。 そう考えると、感情というものを持つ人間の代わりに、法律の知識だけを注ぎ込んだコンピュータが裁判官になることなんて、良くも悪くも様態が大きく異なってしまうので実行不可ということがわかると思います。 ちょいと真面目な書き出しだから真面目な話になると思ったら大間違いだぞ。裁判ブログ書いてるからって、法学部出身だと思ったら大間違いだぞ。で、お馴染みの「普通」です。 今回もはりきって参りましょう。 裁判の傍聴というのは誰もが出来ますので、いろんな人がいますが、だいたい以下のように分けられると思います。 >> -事件の関係者 -法律関係者 -学生 -暇つぶしに来ているとしか思えない、得体の知れないオッサン -俺 << で、意外と事件の関係者って裁判にいないことが多くて、だいたいいるのが得体の知れないオッサン。昼間っから酒呑んでんじゃねぇかと思う、だらっとした姿勢でニヤニヤ被告人を小馬鹿にした眼で見たりします。 この裁判の傍聴席には、スーツを着た僕と、あとオッサンの集いという、ここは2ちゃんの法律板か?と思ってしまうようなカオスな雰囲気を持った裁判でした。 >> 被告人は20代後半の男性。 被告人は、午後5時ごろ帰宅中の女子高生に対し、「カラオケ店までの道を教えて」といい連れ出し、カラオケ店の前まで来ると、一緒に行こうよなどと誘い、それを断ると被害者の腕をつかみ、「ほらっ」と言いながら、勃起した陰茎を見せ、直接触らせるなどの行為を行ったというもの。 被告人は、前科前歴なしの初犯ということ。 << まず、一言。 ほらっじゃねぇだろ、ほらっじゃ。 さて冷静に裁判に戻ります。まず、カラオケ店に誘われた被害者は、まず「病院に行かなければいけない」(嘘)「ケータイの電池が切れたから、早く行かないと心配する」(嘘)と咄嗟の割には、高水準の嘘を織り交ぜていましたが、被告人はなかなか諦めてくれません。 被告人が陰茎を露出するにあたり、被告人の腕を引っ張る力が強くなり、力では敵わないと思った被害者は、引っ張られている腕の力を一瞬抜き、被告人に隙ができたところで、パッと振り払い逃げたとのこと。 孔明「今です!」っていうニコ動のテンプレがありますけど、まさにそんな感じ。なかなか、スルースキルに長けている被害者です。柔よく剛を制すとはこのことですね。 ただ、そんな被害者も事件のあとは、家に一人でいるときに、外に足音がすると恐い。友人と一緒でないと、下校も恐いと被害は甚大です。性犯罪はこれが恐い。 それとは対照的に被告人の母親は、緊張感が薄い。証人尋問にて、 >> 弁「被告人の性格は?」 証「とても優しい性格をしています」 弁「今回、このようなことを起こしてしまいましたが」 証「今でも信じられません。きっと、なにか嫌なことでもあったのだと思います」 << とまぁ、社会現象ともなった「告白」の少年Bの母親を彷彿とさせるセリフ
告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

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嫌なことって、アンタ……。 >> 弁「被告人は中学校の時、登校拒否だったと聞いていますが、人づきあいは苦手なのですか?」 証「中学の時にいじめにあったようでして、2年半登校拒否の状態が続きました」 弁「いじめの原因とは?」 証「数学と英語が得意だったものですから、自慢していたのを妬まれたようで」 << 2年半登校拒否ってことは、中学1年の夏過ぎまでくらいしかいなかったってこと?それで英語が得意だったってのは、3単現のsを理解していた程度のことでしょうね。得意と呼べるレベルじゃねぇだろ……。 さて、この被告人ですが、初犯ということは説明したと思いますが、こういった性犯罪は非常に再犯率が高い。なので、再犯を防ぐためにも、最初のこの裁判で今後の犯罪の芽を摘み取らなければなりません。 >> 弁「どうして、陰茎を露出したり、それを触ってもらおうとしたの?」 被「ストレスが溜まっていたり、パニックになっていた部分もあって……」 弁「ストレスが溜まった人が、全員陰茎を露出なんかしたら、世の中めちゃくちゃですよ。自分の意思の問題じゃないんですか!?」 << 再犯を防ぐために、弁護士も厳しい口調で糾弾をすることもしばしば。それにしても、すごい例えです。悪の組織が目論む世の混乱より、さらに混乱していることは確実のようです。 ただ一方で、被告人が詰問されている様子や、何度も法廷で口にされる、「陰茎」という言葉などに、傍聴席のオッサンどもはニヤニヤが止まりません。なんか嫌な雰囲気です。 自己保身に走る訳じゃないですけど、さすがに僕はそのレベルで裁判を見ているわけではないということだけフォローさせていただきます。そういったスタンスについては、いつか述べる場を設けましょうかね。 しかし、その嫌〜な感じで流れていた時間が止まる瞬間がありました。 >> 裁「結局、どうしてやってしまったと思っているんですか?」 被「仕事もせず、何もしていない自堕落な生活が多いからだと思っています」 オッサン「!!」 俺「!!」 << その論理付けはおかしいだろと思いつつも、少なくとも隣の一番ニヤけていたオッサンからは笑顔が消えました。 そして、昼休みという名目で裁判所にいた、スーツ男もメモを折りたたみ、そっと法廷をあとにしたのでした……。 今日は、もう一つ記事がありますので、そのまま「僕の彼女を紹介します〜地獄の行軍&名曲蹂躙編」へお進みください。