裁判員裁判、傍聴してきました

boutyou-works2010-09-18 裁判No.49 事件:覚せい剤取締法違反」 概要)覚せい剤を持ってちゃダメよ     「関税法違反」 概要)覚せい剤を持ち込んじゃダメよ 被告人:30代前半の韓国人女性 傍聴席:8人 裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。 今日は、ちょっと書きたいことが多いんで、さっそく挨拶から。 どうもどうも、裁判員制度も二年目に入りましたし、押尾被告のご尽力もあって裁判員裁判に多少世の関心が高まればいいと心の底から願っている「普通」です。 今回もはりきって参りましょう。 ついに傍聴してやりましたよ、裁判員裁判。 ふらっと寄った裁判所で、開廷表を見ていたら「裁判員裁判」との輝かしい文字が。ってか、わざわざ裁判の予定表に裁判員裁判なんて表記があるんですね。 まぁ、わかりやすくてよろしい。 ちなみに、裁判員裁判用の法廷というのがあるのね。 普通の裁判でも使われることがあるからその存在は知ってたんだけど、まず特徴としては、わざわざ裁判員裁判用に作り直しているんだから新しくてきれい。 で、弁護士と検察官の後ろにモニターなりなんなりなんか映し出すものがある。 裁判官の席は普通は多くて3席だけど、裁判員と職業裁判官用の9席が一直線ではなく、被告人席を中心に多少ゆるやかな円をつくるように曲線で並ぶ。で、その斜め後ろには予備の裁判員用の席。 あと、職業裁判官、裁判員の席の前には小さいモニターがついている。カーナビよりは大きいとは思うけど、結構顔を近づけている人もいるから、さほど大きくはないはず。 そんな説明もほどほどに、時間となり裁判官の扉が開く。ぞろぞろと、裁判員の面々が入場。 左から推定で、20代男、20代女、50代女、裁判官3人、30代男、20代男、50代男、60代男、50代女(最後の2人は予備の裁判員)と席につく。初めてだから年齢チェックとかもしてみる。 これが、なんというかよく裁判員ドラマでありそうなキャラが立った面々でね。今どきの若いにーちゃんもいれば、主婦みてぇなのもいれば、定年間際のじいさんと、堅物っぽい男。 計算されたかのような、人選。まぁ、人が8人も集まれば、それ相応の特色が出るということで納得。 では、さっそく裁判の内容に移っていきましょう。 >> 被告人は30代の韓国人女性。 被告人は営利目的で、氏名不詳者から依頼され、覚せい剤998.5gを二重底加工されたキャリーバックに入れ、トルコから成田まで輸送。成田の税関にて覚せい剤を持っていることが発覚し捕まる。 << こんな感じ。 この起訴状が朗読された後、その内容を認めるかという罪状認否にて >> 裁「今の起訴状について、何か誤りはありますか」 被「はい。私は輸送したものが覚せい剤だとは知りませんでした」 << と一部否認行為自体は認めたものの、犯罪の意思としては否定。では、被告人は何を輸送していると思っていたかというと、 大麻樹脂・ハシシ の輸送だと思っていたとのこと。大麻ももちろん違法ですので、いくら覚せい剤の輸送としての意思を否定したところで、有罪決定〜! で、ここから検察官が証拠によって証明しようとする事実を簡潔に述べる冒頭陳述ってのが始まるんですが、普通の裁判ではここが退屈で。 というのも、検察官と弁護人、裁判官はその裁判用の資料を持っていますけど、当然傍聴人には配られませんし、早口で何を言ってるかさっぱりなので、だいたいここで傍聴人が置いていかれちゃうんですよね。初めての方も、ここでよくわかんな〜いってなって裁判から足が遠のいている気も。 ただ、一般市民も参加すると銘打っている裁判員裁判は違いますよ。 ここで使われるのが、弁護士と検察の後ろ、そして各裁判官の前に置かれているモニターだ。ここにパワポで作ったと思われる資料がどんどん出てくるので、傍聴席にもやさしいし、裁判員にもやさしい作り。 しかも、喋り出す前に、だいたい何分かかりますという気持ちの持ち様まで表してくれるという、ゆとり教育。ついでに言うと、普段より若干いい声。 これなら初めての人でも、たぶんわかりやすいと思うんだけど、逆に考えるとじゃあ普段の裁判がどんだけ杓子定規で進められていたかってことでもあると思うんだけどね。 まぁ事件のことを細かく書いてもいいんだけど、それじゃあ前後編になっちゃうんで端的に羅列すると、 >> -被告人は、売人からカバンを渡してほしいと頼まれる。そうすれば、5千ドル(1ドル100円計算で約50万円)をあげると言われる。←この時点で怪しすぎる。 -この量の覚せい剤であれば、価格としては4700万くらいになり、非常に大きな組織ではないのか。 -報酬が目的であり、末端の運び屋とは言え、規範意識が頓馬していると言わざるを得ない。 << 検察の言いたかったことはこの程度かね。 こういった内容を文章の羅列で10分弱。文章が飛び出るといった工夫はあったものの、文章ばっかだったから、プレゼンの構成としては弱いね。評価してはB-といったところか。 それに比べて、弁護士は表を使ったりとなかなか面白かった。面白かったんだけど……。 >> 弁「それでは、被告人の生い立ちを説明していきます」 傍聴席「!?」 弁「韓国の大学を卒業後、被告人は両親と同居をしておりましたが、」 弁「パン屋でアルバイトを始めるとともに親元を離れます。そして、アルバイトで貯めたお金を使っての旅行先で、」 弁「売人の男と出会います」 << 傍聴席は写真撮影禁止なので、僕が絵を再現したんですけども、僕に絵心がないんじゃないですからね。本当にこんな絵だったんですよ。 弁護士のパン屋のイメージ…… そして、 悪が顔からにじみ出ている売人…… ってか、こんなこと説明するために絵を出す必要あったのか? と、ここで30分の休憩。まだ1時間足らずなので、普通なら休憩とかないのですが、裁判員の負担を考えてのことなのでしょう。これを機に僕も法廷を後にしてしまいました。 で、感んじたのが、やっぱり一般の人にもわかりやすくなるように工夫している感じは認める。なので、実際に裁判員裁判って東京地裁だとしょっちゅうやっていると思うんで、初めての人はまずは裁判員裁判を傍聴してみてもいいんじゃないですかね。 今後は、検察官や弁護士もプレゼン能力が求められるんだろうな。それが出来ない独りよがりな人は淘汰されたりとかね。 まぁ、これがね殺人事件だったりとか、押尾氏の裁判とかになると嘘とか誇張を織り交ぜたりするんだろうから、裁判員の負担は増えちゃうんだろうから、一概に裁判員裁判を推奨するわけじゃないけど、傍聴人には優しくなったよね。