そこに壁があれば登るし、そこに大福があれば盗る。

boutyou-works2011-04-24 裁判No.63 事件:「窃盗」 概要)バイクを盗んだり、自動車を盗んだり    「窃盗未遂」 概要)バイクを盗もうとするもやっぱ辞める 被告人:20代半ばの男性 傍聴席:4人 裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。 高校の修学旅行に行った時の話ね。 沖縄に3泊で行ったんだけど、どこかの行程で急にトイレに行きたくなってドアに手をかけたんだけど、中からカキーンカキーンっていう金属音が聞こえのね。ホント高校野球の金属バット音に近い感じ。 なんだろ?と思ってドアを開けたら、ほぼ同じ行程で行動してた超DQNとして名高いらしい高校の奴が、警棒使って一心不乱に小便器を叩いてたんだわ。特に言葉を発するでもなく、そりゃあもう黙々と。 なんにしても理由がありゃいいってもんじゃないけどさ、理由もなく行われる奇行って不気味だよねって話。 そんな訳で、でもお前が裁判所巡りしてるのって別段も理由もない奇行じゃね?って言われたら何も言い返せない不気味な「普通」です。 今回もはりきって参りましょう。 >> 被告人は20代半ばの男性。 被告人のやったことは4つ。 -友人と共謀の上、近所の駐輪場に停めてあったバイク(時価9万円相当)を窃取。 -同じ場所で他のバイク(時価25万円相当)の鎖を外して持ち運ぼうとするも、エンジンがかからず近くの公園に放置。(窃盗未遂) -別の日、駐車場にエンジン付きで停めてあった自動車を窃取。車内にあった給料袋(25万円)も窃取。車は散々乗りまわした後、路上に放置。 -同日、友人と自動販売機をバール(のようなもの)つるはし、ドライバーを使って開けようとするも未遂に終わる。 << この行動の一貫性の無さというか、ある意味一貫した行動と言いましょうか、欲望の赴くままに行動しているという感じは前置きでのDQN高校生にも通ずるところ。 また、警察での取り調べでは動機を聞かれてこう答えたとのこと。 >> 被「理由は特にありません」 << 理由はありません、いただきました! バイク欲しいとかじゃないのよ、お金欲しいとかじゃないのよ。そこにバイクがあったから盗ったのよ。で、エンジンがかからなきゃ捨てるのよ。 これは中々規範意識の頓馬業界では純度の高いサラブレッドが現れたものだ。ドラゴンボールアクマイト光線なんて出された日にゃ、光線が当たる前に大爆発を起こしちまうんじゃないかという悪の気。 見た目で判断しちゃいかんけど被告人の容貌は、最高に褒めるならばやんちゃしてる人、普通に表現すれば夜道では絶対に出会いたくない完全なるDQN。ヤンキーというよりかは、中学高校の悪ガキがそのまんま歳だけとったとも言えそう。 そんな被告人ですが、証人に来たお母さんはいたって真面目そうな人。宮崎美子さんをちょいオバサン要素を濃くした感じ。 それでは証人尋問。 >> 弁「証人は旦那さんと15年前に離婚されてから、女手一つで被告人を育ててきていますね?」 証「…はい、そうです」 弁「どうして離婚したのですか?」 証「はい、旦那は覚せい剤を使って一度逮捕されていまして、一度裁判で執行猶予の判決をいただいても、直後に覚せい剤を使用して再度逮捕されるなどしまして、子どももまだ小さかったのですが離婚を決意しました」 弁「離婚をしたのは被告人が何歳のときですか?」 証「10歳のときです」 << なるほど、複雑な環境を過ごしてきた幼少期だったのか。犯罪の理由にはならんけど、多少は同情。 ってか、この腰の低い母ちゃんを責める気にはなれん。クスリやってる旦那とくっついたのも、自らで更生させてやろうという正義感からだったのではないかと思ってしまうほど。 >> 弁「記録を見ると、その離婚時期あたりから被告人は犯罪に手を染めるようになっているようです。11歳のときですね、被告人はスーパーで万引きをしていますね。何を盗ったのですか?」 証「大福です。離婚して、稼ぎがなくなったので、貧しい暮らしをさせてしまったせいなのかと思うと…(涙)」 弁「それは証人の責任ではありませんよ。でも、証人は子どもの好きな甘いものを食べさせてあげたいという気持ちでいっぱいだったのですね?」(なんだ、この質問) 証「……いえ、息子は昔も今も甘いものはそんなに好きではないのですが…」 << 出た、理由き無き犯行!!11歳にしてすでにこの域。 盗んだものが大福かよと突っ込むのから方向転換しなくちゃならなくなったじゃないですか。 >> 弁「被告人は何度か少年院にも入っています。少年院を出た後はどのような態度をとるのでしょうか」 証「いえ、別段反省している様子もなく、いばっている様な感じさえあるんです。」 弁「それは、証人に対してそのような態度をとるのですか?」 証「いえ、私にはそういう態度をとらないんですけど、学校の先生がそのようにおっしゃっていまして…。で、同級生の子に相手にされなくなると、今度は下級生の子に対してそのような態度をとっていたようで…」 << うぜー、こんな先輩マジでうぜー。俺の地元でいったら久和野さんのことだな。どうせバレないんで実名出しましたけど。 同級生からしたら、また始まったよ...って感じだったんだろうね。そんで後輩に...。泣ける...。 その後も証人への尋問は続く続く。同規模の犯罪の証人に対する尋問と比べると明らかに長い。どうしてだろうなと思ったんだけど、その後に行われた被告人質問で全てわかった気がします。 だって被告人、何を聞かれても >> 被「えっ?あぁ、はい」 << 的なことしか答えないんだもん。そりゃあ弁護士としては、弁護の材料をまともに喋るであろう証人から引っ張るしかなかったんだね。 まぁ少年院を何度も出入りし、窃盗やら器物損壊やらで前科前歴多数の被告人に対して、諦めず弁護の糸口を探し続けた弁護士を立派というべきかもしれんね。40代のおっちゃん弁護士。 仕事なんだから弁護するのなんて当然じゃんと思うかもしれませんが、たぶん弁護士の8割はこの案件に当たったら適度に流すはず。そんなもんです。