1984年生まれはギリゆとり世代ではないとだけ言っておく(後編)

boutyou-works2011-07-24 傍聴No.69(後編) 事件:公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例違反 概要)電車内の痴漢 被告人:20代半ばの男性 傍聴席:13人 裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。 そういえば、今回後半でしたね。 前回のをまだお読みでない方は、まずはそちらからどうぞ。俺も読み直すわ。【前編へ】 先週は、裁判所撮影旅行のため更新を止めちゃって、ごめんなさい。深い自然に囲まれて、せっかく浄化されたのに一週間ですっかり元通りのダメ人間「普通」でございます。 今週もはりきって参りましょう。 いやぁ今、俺も読み終ったわ。マジで終わってんな、この人。 ただ、この裁判で本当に書きたかったのって、これから書くことなんだわ。 前回の裁判が終わって、判決は次回に持ち越しに。検察官からの求刑は懲役一年六月でした。 まぁこう求刑が出た場合、初犯ということもありますし懲役一年六月、執行猶予四年という判決が下るであろうとは予測できたのですが、たまたま都合もよかったため再度判決も見に行くことに。滅多に行かないんだけどね。 裁判所にはだいたい傍聴人やらが法廷が開くまで休んでいられる「待合室」みたいなのがあって、だいたいは壁で仕切られたりするんだけど、そこの裁判所は仕切りもなんもなく法廷の前にベンチがいくつか置いてあるだけなのね。だからまぁ、正確には「待合‘室’」ではねぇんだけどさ。 そんで、まぁこの裁判を見るためにエレベーターで法廷のあるフロアに降りたら、なんかすげぇうるせぇの。 なんだなんだと見てみたら、そのベンチに10人近くおばちゃんやらオッサンがいてなんかくっちゃべってるの。中には「おはぎ持ってきたから食べてぇ」とか言ってるおばちゃんもいて。 俺なんか、どこぞやの公民館か何かに迷いこんじゃったのかと思ったら、その団体の中に被告人のお母さんを発見。話を傍から聞いている限り、このおばさん達は被告人の親戚とかで、被告人の判決を見届けにきた様子。 たま〜にはさ、交通事故で莫大な慰謝料を払わなきゃいけないから親戚縁者みんなで払っていきますみたいな意思を見せるためにわらわらと親族一同集合みたいなのはあるけど、まぁそれでも一回しか見たことないけど、痴漢の裁判を見にくるってどうも興味本位なんじゃねぇのっていう気になっちゃうんだよなぁ。俺が言えた義理じゃないけど。 前回から思ってますけど、この一族はなんか事態を軽く見てる気がしちゃうんですよね。息子が痴漢しただなんて、こんなたくさんの親戚に普通言えませんよ。 そうこうするうちに待合室(?)に弁護士も登場。弁護士もこの大量のおばちゃん達に一瞬引き気味。すかさず、被告人のお母さんが説明。すると、おばちゃんの一人が近寄っていって、 「あなたが弁護士さんですか?○○(被告人)がお世話になっております。さっそくですけど、執行猶予はいただけそうなのでしょうか?さっそくすぎんだろうがよ。まずは被告人の状態だったりさ、いろいろと聞くことあるだろうがよ。そしたら弁護士さん、 「今回、初犯ということもありますし、恐らく執行猶予付きの判決となると思います」と無難な回答。まぁこうとしか答えられんわな。 そしたら、よかったよかったと騒ぐおっさん共。 俺さぁ、親族に裁判を受けたような人がいないからわからないのか知らんけど、裁判所内で判決を受ける前から、こんな浮かれる人たち信じられないんだけど。ってか、法廷内では無いとは言え、裁判所内でうるさくできるって一種の才能だろ、これ。 今は亡き「どう〜なってるの?!」で、「裁判所で見つけました非常識な大人!」みたいな特集があったら間違いなく応募してるわ。 歳がバレる...。 まぁなにはともあれ、時間になったのでわらわらと法廷内へ。待合室よりかは静かになったものの、裁判長が来る前とは言えまだ軽く喋っていやがる。 んで、裁判長が入廷。知らない人が多数だと思いますけど、裁判長が法廷内に入ってきたら起立して礼をしなきゃいけません。書記官の人が「起立!」と言ったり「ご起立ください」と言ったり、特に何も言わなかったりと様々。別に立たなくても怒られることはありません。 今回は書記官の人が「ご起立下さい」ってみんなに促して、「礼!」って言ったんだけど経験者である被告人のお母さん以外はなんかキョロキョロして戸惑っています。これだけなら普通の反応なんで構わないんですけど、 「何よ、立たなきゃいけないなら最初から言ってくれればいいのに」とかぶつくさ文句を言いだす始末。 「裁判長!コイツらをぶん殴らせて下さい!」と提案などもちろんするはずもなく、さっそく判決の言い渡しへ。 さて判決の言い渡し方なのですが、単純に実刑のみの場合は 「被告人を懲役○○年の刑に処する」 こんな言い方だというのは、皆さんも想像できることでしょう。では、執行猶予付きの判決はどう言うのか。 「被告人を懲役○○年、執行猶予○○年に処する」 とは言いません。では、実際どう言うのかは裁判長に再現してもらいましょう、どうぞ! >> 裁「被告人を懲役一年六月の刑に処する。四年間その刑の執行を猶予する」 << 執行猶予何年って言い方はしないんです。まぁ人によって言い方はまちまちかとは思いますが。そんなこんなで僕の予想通りの判決だったので、ドヤ顔をしていたのですが、傍聴席がざわざわ…しています。本当にその時の様子を表すのに最適なのが、「ざわざわ…」だったんですよ。 話を聞いてみると、執行猶予何年って言い方をしなかったので、被告人が執行猶予なしの実刑を喰らったと勘違いしているみたいです。執行猶予なしの実刑判決が出たホリエモン裁判のときも同様の現象が起こったのでしょうか?とは言え、今回の判決は執行猶予四年がついているんですけどね。 そのあと、裁判長は懲役等に関する説明をします。 >> 裁「被告人には懲役一年六月の実刑判決が出ていますが、四年間その刑を猶予しますのでただちに刑務所に入ることはありません。ですが、…(執行猶予についての説明)」 << と、ここでおばさん連中も執行猶予を勝ち取ったことを理解したのでしょう。文字でしか表現できないのがとても辛いですが、 うわぁぁっとかいう歓声の声を上げやがったんです。WBCの決勝でイチローが決勝打を打ったときの歓声に近いものがあったね。 でも、法廷でやっちゃダメだそれ。一発レッドの退場でもいいかなと思ったんだけど、裁判長は注意するだけに留めたので代わりに僕が法廷を後にしました。 さすがに、この人たちとは裁判を一緒に見てられんよ。