石の上に三年大丈夫なら、二十年まで許容範囲
傍聴No.90
事件:出入国管理及び難民認定法違反 概要)不法入国してすげぇ長いこと在留してた
被告人:40代後半の男性
傍聴席:7人
裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。
今も読書って好きだけど、大学の時が一番数を読んでいたと思うのね。もちろんいろんな本を読んだけど、大学の時は妙に落語の本をたくさん読んでいた気がするな。
- 作者: 立川談志
- 出版社/メーカー: 梧桐書院
- 発売日: 2009/11/17
- メディア: 単行本
- クリック: 38回
- この商品を含むブログ (23件) を見る
大学へは、部活動もやっていたこともあってしっかり行ってるんだけど、授業行かずに図書館に直行して本ばっか読んでたから、友だちに大学辞めたと思ったと言われたくらい。敷地には行ってたんだけどね。
本来、目的があって行っていたはずなのに、それ以外のことが面白かったり抜け出せなくなっちゃうせいで全然目的を果たせなくなるみたいなことってあると思わない?東京に出てきたのはいいけど…みたいな。今日はそんな話。
3月も終わりに近づいていますので、皆さん卒業式は終わったのでしょうか。僕の卒業式の思い出といえば、最後の担任教授の話のときに日本酒を飲んでいたという思い出だけ。そんな「普通」です。
今回もはりきって参りましょう。
被告人は40代のボリビア国籍の男性。
被告人は違法パスポートで平成4年に来日し、逮捕されるまでの期間、日本で不法在留として就労していた疑い。
随分と長いことバレずにいたもんだな、この人。
まぁいいや。結構この手の裁判って多いんだけど、日本に不法入国する人って9割型がお金を稼ぎに来てると言っていいと思うのね。そんでその理由ってのが、貧しい故郷にお金を送るためってのが多い。大体の人がそんなうまくいかないんだけどさ。
この被告人も、故郷のためといえばそうだったのかもしれないんだけど、ちょっと話がめんどくさいんだよね。
弁「どうして、違法なパスポートを使用してまで日本に来たのですか?」
被「お金を稼ぐためです」
弁「お金を稼いでどうするつもりだったのですか?」
被「稼いだお金で故郷の大学に入り資格を取り、仕事をするつもりでした」
弁「故郷のボリビアで仕事を探すのではダメだったのですか?」
被「ボリビアでは給料が少ないため、大学へ入れるような貯金を作ることはできません」
弁「では故郷の家族のために、大学へ行って資格を取って仕事を探すつもりだったのですね?」
被「はい、そうです」
長くなったんで、簡単にまとめると、故郷で仕事をするため資格をとりたいけど、その資格を取るための大学に入るためにはお金が必要だからそのお金を稼ぐために日本に来たということですね。
あのさぁ…、
平成4年って何年前だと思ってんの?
もう20年前だぞ。1人の赤ちゃんが2浪した上で大学に入れる年数をあなた日本で何をしていたんだよ。
弁「もちろん違法な行為は許されることではありません。でもね、あなたはまだ大学に入って資格を取りたいという気持ちは持っていますか?」
被「はい、もちろんです」
うそ〜ん。
君のその大学へのモチベーションは何なんだよ。20年もあったら、もっと他の方法考えろよ。
弁護士は大学に入るためならってことで、なんかまとめようとしてますけど、検察官はそう甘くないですよ。
検「あなた、違法パスポートを利用しているという認識はあったのですか?」
被「はい。しかし、私はお金を稼ぐ必要があったので、使ってしまいました」
検「その違法だという認識もあって、わざわざ日本に来たのに20年間も何していたんですか?大学への費用を貯めるためにそんなに年数必要なんですか?」
そうだ!そうだ!その指摘は俺もしたぞ!
ボリビアの大学入学金事情は知りませんけど、本当にその目的のためだというならそんなに時間かからないでしょうよ。
被「...普段の生活費もありましたし、仕事の関係で出費もありなかなか貯金ができませんでした」
検「生活費は仕方ありませんけど、仕事の関係の出費ってなんなんですか?」
ここまで説明していませんでしたけど、この被告人には通訳がついています。なので、本当に被告人がそう言ってるのかわかりませんよ、わからないけれどもその検察の質問に対して驚きの回答が出ました。
被「接待です」
お前、どこの世界に外国から来た不法就労者使って接待する企業があるんだよ。しかも自腹なのかよ。
まぁ僕の場合、風貌や態度でだいぶ印象操作されちゃうから微妙なとこなんだけど、この被告人はそんな悪い人に見えないんだよ。在日20年って言われなきゃ、大学へ行くためっていう理由も信じちゃうくらい。
それだけにさ、この噛み合ってない感じが面白いしさ、本来貧しい家族のためにってはずだったのに、その家族は20年も待たされて今どうなってるんだろうってのも気になるし。