「知らない人についていっちゃダメよ」の教科書(前編)

boutyou-works2012-05-03 傍聴No.93 事件:わいせつ誘拐 概要)わいせつ目的で女児誘拐     強制わいせつ 概要)嫌がる女児の太もも触ったり 被告人:50代後半の男性 傍聴席:20人弱 裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。 漢字って便利だと思うのが、初めて見るものでも部首を無視してそれ以外の要素で読みを予想できたりするじゃん。まぁだからこそ最近話題の、子どもの名前を初見では絶対わからないDQNネーム(キラキラネームともいう)なんかが注目されてるとは思うんだけど。 今の漢字の例に限らず、もっと言えば日本語に限らず言語全般的に、会話にしても文章にしてもコミュニケーションを取るくらいだったら全ての単語を理解していなくてもなんとなく伝わるということはあると思います。英語だったら、un-と頭についていたら、否定的な意味なんだろうなとか、runにerがついているから走っている人を指すんだろうなと予想できたり。 でもたまにさ、いやそれ意味はわかるけど多分そんな言葉ねぇからって思うときない?一番多いのは、単語に「〜する」とつけて無理やり動詞化するというもの。具体例は、まぁこの後の記事を読んでみて下さいよ。 「傍聴」って言葉さ、普段使うことないよね?俺さぁ、裁判傍聴するようになってから使うようになったから、しばらくは傍聴=裁判用語という意識が強かった世間知らずな「普通」です。 今回もはりきって参りましょう。 さぁて久々にちょっときつめの話でもいきましょうか。 >> 被告人は50代後半の男性。 被告人は、中学校の登校路にて車で待ち伏せし、通りかかった当時12歳の女児に対し「学校まで送っていく」などと言い、車内で太ももを触るなどの行為をし、車内に2時間ほど女児を監禁していた疑い。 << 今回被害者は車に乗せられたわけだけど、被害者も言ってたけど特に暴力を奮われたとかでなく被告人が「学校まで乗せていってあげようか」と言って、その日が台風だったから被害者の子もなんか面倒になって乗せてもらっちゃったんだって。 ちょっと厳しいこと言うと、もちろん被告人が100%悪いんだけど、女児の方もやや無警戒だったと言わざるを得ないよね。こういうケースを見ちゃうと、もし仮に自分に子どもが出来たら、絶対きつく 「知らない人にはついていっちゃダメ」って言うよ。 まぁ子どもできるどころか結婚も出来るかも知らねぇけどさ。 そこから事件はどのように進むかというと。 女児を車に乗せた被告人ですが、しばらくはなんもせず普通に学校に向かっていたとのこと。まぁ本当かは知りませんが、最初からわいせつ目的で声をかけた訳ではなかったとのこと。ただ被害者から、 台風なので、登校時間が自由になった ということを聞き、ちょっと考えが変わります。 >> 被「時間があるならホテル行かない?」 << などと誘います。しかしこれは被害者が拒否。そりゃそうだ、ってか別に時間がある訳じゃねぇしな。 というか12歳の女児ですからね、ホテルって何?状態。 しかし、そこから被告人がギアチェンジ。 >> -被告人が「愛撫って知ってる?」などと聞きながら、被害者のズボンの中に手を入れようとしたが、体をよじらせて逃げられる。 -「もし襲ってきたらどうする?服とか脱がせようとしたらどうする?」などと聞く。 << 被告人は被害者は物凄く抵抗していた訳でもなかったのでエスカレートしたとか言ってんのね。 そりゃあさ、大人だったらさ「何しやがるんだ、このハゲ」って頭ぱこーんって出来るかもしれないけどさ、12歳でよ、車という密室で自分の親よりも上であろう60歳手前のオッサンから力づくで来られる訳でなく、なんかネチネチ来られたらただただ怖いと思うよ。そういう時って、大声で喚くっていうより震えることしかできないんじゃないかな? 被告人のネチネチはまだ続きます。 >> 告「AVって知ってる?」 害「知りません」 告「友だちとそういう話しないの?学校とかで習わないのかな?」 などと呟きながら「こういうことをするんだよ」とももを触ろうとして拒絶される。 << 今まで裁判でさ、強姦事件とかさ気分の悪くなるような話たくさん聞いているんだけど、今回の話はそれとはまた違った意味での気持ち悪さを感じるよ。 個人的には「学校とかで習わないのかな?」って言葉に物凄く寒気がしましたね。習うわけねぇじゃん!という突っ込みはここでは恐らく間違いですよ。そんなのは被告人だって知ってんですよ。ただそれを「なら、オジサンが教えてあげようか」的な思考で言ってんじゃないかってのがきついんだわ。 いや、今のは俺の想像だから、お前の想像が気持ち悪いわと言われたら、はいごめんなさいとしか言えないですけど。 台風で登校時間が自由になったと聞いてから、気付いたら学校からのルートを外されていたものの、被害者はここらで勇気を持って帰りたい旨を告げます。被告人としてもこれ以上は無理かと思ったのか、学校へ向けて車を走らせます。 あぁ良かった、逆上して暴力とか奮われなかったんだなと僕が胸をなでおろしていると、その帰り道の途中で1回だけ >> 被「ここ曲ればホテルだけど、本当に行かない?」 << と聞いたとか。 この馬鹿!とっとと帰れ。ここでは被害者も「嫌です、行きません」とはっきりと断ったとか。 そして今度は学校までもう少しというところで、車をいったん停車。すると、 >> 告「やっぱりAVだけさせてよ。ねぇAVしよう」 << とまた、ももを触ろうとしたとのこと。しかしこれも被害者は拒絶。もう学校も目の前だったこともあり、車を脱出。被告人が千円を渡そうとしてきたらしいのですが、それも拒絶して逃げていったそうです。 「AVする」ってなんすか?勝手な言葉作ってヒドイことしてんじゃねぇよ、この野郎。 あとさぁ、女児が拒否したのがホント偉いけど、千円ってなんなんだよ。金額の大小じゃねぇけどさ、むしろ感情の逆撫でだよね。 いつもそうですけど、今回も当然ここに書いた内容については手を加えていないですからね。今の被告人とか被害者のセリフも検察官が再現しますんで。実際はもうちょっと詳細だったのを端折ってるという意味では手を加えているけど。 そう考えると、すごい大きな事件が裁判の審理で何年もかかっちゃうの、少しは理解できたりもしない?いつ、誰が、どんなことをしたか細かいところまで裁判で提出しちゃうんだもん。 さてそれでは、被告人がどうして女児を狙ったのか、被告人の弁解は?とかその他諸々はまた次回に続きます。と言っても、また九州の裁判所紹介挟むからちょっと時間空いちゃうけどね。 〔後編へ〕……5月13日更新予定