「知らない人についていっちゃダメよ」の教科書(後編)

boutyou-works2012-05-20 傍聴No.93 事件:わいせつ誘拐 概要)わいせつ目的で女児誘拐    強制わいせつ 概要)嫌がる女児の太もも触ったり 被告人:50代後半の男性 傍聴席:20人弱 今回の記事は前後編の後編です。まだ前編をご覧でない方は、是非「前編」からお読みください。 裁判の中身が気になる方は「続きを読む」からどうぞ。 最初に重要なお知らせです。 このブログの裁判傍聴記はこの記事をもってしばらく更新停止します。特に再開の時期は決めていません。 決してネタがない訳じゃないんですけど、個人的なモチベーションの問題です。なので、ふらっと再開する可能性もあります。 もしこのブログに傍聴記目当てでお越しいただいてる方がいるならば、しばらくお待ちいただけると幸いです。傍聴記を再開する場合は、ツイッターなりトップページ等で告知はしますので。まぁツイッターが一番確実かな。 そんな訳でお知らせでした。 さて、裁判の話をしましょうか。 今日は証人と被告人への質問尽くしとなりそうです。証人は被告人の奥さん。 >> 弁「被告人の犯行に心当たりはありますか?」 証「一昨年あたりから、私の仕事が増えてストレスが溜まるようになりました。その辺りから、性行為の際に痛みが生じるようになり拒んでいたのが原因かも知れません…」 << 奥さん、悩んだんだろうな。旦那がこんな犯罪を犯したのは、自分が拒否していたからではないかって。いやぁ、でもそれも1%くらいは原因かもしれないけど主原因ではないでしょ。だって、中学生に手を出してるんだもん。とりあえず、この奥さんには自分の責任と背負わないでほしい。 >> 弁「事件のあと、生活に変化はありましたか?」 証「TVや新聞などでも大きく報じられまして、近所の方からも毎日たくさん電話がありまして...。もう何も信じられず、テレビもつけず電話線も抜いて生活していました」 弁「その他にはありますか?」 証「主人が逮捕されて、働く人間がいなくなったわけですから、仕事の量を増やしました」 << 逞しいなぁ、この人。 もちろん稼ぎ手がいなくなったから、なんかしら手を打たなきゃいけないんだけど、この話だと恐らくご近所から虐げられるような状況になっちゃったのでしょう。その中できちんと自分で働いて生きていくことを選択した証人、偉いじゃないですか。俺なら、引き籠るな。 しかし、そんな気丈に振る舞っていた証人ですが、 >> 弁「被害者に対してはどういうお気持ちですか?」 証「同じく子を持つ身として、とても申し訳ないのと恥ずかしいのとで、死にたい思いでいっぱいです...」 << ここで涙で声にならなくなった証人。これは見てるこっちも正直キツい...。 しかし、それでも最後の質問に答えます。 >> 弁「被告人が出所したら、再犯を防止するために証人は協力しますか?」 証「もし改心する可能性が少しでもあるならば、それに全力を尽くすだけです」 弁「質問、終わります」 << いやぁ、綺麗に締めたね弁護人さんよぉ。 数多の裁判を見てきた僕ちゃんでも、ちょっとグラっと来ちゃったじゃないの。 さて、証人は十分すぎるほど自分の役割を果たしました。しかし、重要なのはこれからの被告人質問です。被告人はどう答弁するのかに注目です。 >> 弁「被告人が被害者に声をかけたとき、なんとしても性行為につなげようという強い気持ちはありましたか?」 被「あわよくば、という気持ちでした」 弁「どうして、中学生に声をかけたのですか?」 被「大人なら妻や娘の知り合いの恐れもありますし、中学生の穢れのない肌に興味がありました。小学生には性欲もわきませんし。」 << この人、思ったより重症だな。 小学生も検討した上で中学生を選んでいるってことはかなりガチでしょ。大人がどうこうってことじゃなくて、中学生が良かったってことなんでしょ。 >> 弁「家庭内の性生活の欲求不満が溜まっていたのですか?」 被「なかなか家内がSEXさせてくれなかったものですから...」 弁「自慰行為や風俗店は?」 被「自慰行為は結婚してから一度もしてないですし、風俗も旅先で一度行っただけで探してまで行く気はしませんでした」 << 奥さんが行為に応じてくれないからってことでなんか性欲に走る行動するってのはさ、話の流れとしてはまぁわかるさ、同情できるかどうかは別にして。でも、それが即中学生に行っちゃうってのは、この人もともとその素質があったとしか思えないんだよなぁ。 まぁここまででも十分、は?ふざけんなよと思う展開なんですが、ここでさらに凄い発言が飛び出します。 >> 裁「声をかけたとき、どういう心境だったのですか?」 被「緊張していたのですが、純粋で疑わない目をしていたので、大丈夫かなと思いました」 裁「やっていることが犯罪行為だとの認識はなかったのですか?」 被「初めてのことですから、 悪いことかどうかわからなかったです」 << おぉ...60手前のオッサンが何をおっしゃいますか...。 初めてのことだからわからんってのは、漫喫で生まれて初めてネットゲームやったときに全くやりかたわからなくて、つい入ったゲームの部屋で「やり方教えて下さい」ってお願いするも「素人は入ってくんじゃねぇよ、バカ」って言われて涙目になった俺みたいなのだけが言っていいの。 そしたら裁判長が明らかに怒った目をしているわけよ。 >> 裁「いいか悪かったかわからなかったと...は〜、そうですか〜」 << この反応、怖ぇ〜。いっそのこと怒鳴ってくれよ。 そして最後に、 >> 裁「言葉の端々に身勝手さが感じられます。 先ほど、奥様との性交渉の話をされていましたけれども、原因はどうあれ奥様にこの多くの人間がいる場でそのようなことを言わせないのも夫の務めだと私は思います」 << キャー、裁判長かっこいい〜。こういうのをさらっと言える大人になりたいね。 俺もこの部分すげぇ気になってたんけど、やっぱそこで奥さんのせいにしてたコイツ最悪だよな。しかも奥さんも健気に自分のせいだと思っちゃってそうだし。かわいそうに。 更新停止前の最後の記事が、こんな人のかよっていうなんか嫌な気持ちもあるんだけど、やっぱ改めて思うのは裁判所にはいろんな人がいるんだよね。まぁ裁判所では明らかになってるだけで、存在するのは普通に生活している社会一般なんだろうけどさ。 こういうロリコン犯罪者っていったらさ、マスコミにデフォルメされたキャラを思い浮かべがちだけどさ(デュフフフって笑いそうな人)、この被告人は見た目だけでいったら普通の60前のオッサンなんだよ。 泥棒にしても、クスリの常習者にしても、殺人犯した人にしても、動機やらなんやら千差万別でさ、実際問題どこにいるかわかんないわけだよ。どこにいるか、いちいちそんなこと気にしていたら、ストレスだらけで生きていられなくなると思うんだけどさ。 そりゃ裁判所で見れる裁判なんてほんの一部分でしかないけどさ、世の中にはどんな境遇の人がいて、どんなことが行われているのか、マスコミの工作なしに見ることができる裁判所ってのは是非行ってみてもらいたい場所だと強く思うんだよなぁ。 あっ、でも裁判関係者の工作は入る裁判はあるかもしれんけどね、と言ってみたり。 ぁそんなわけで、最初に書いた通り、しばらく傍聴記は休みます。別に裁判が嫌いになったとかじゃないんで、そのうちまた書くと思います。そのときは是非またお付き合いいただけると幸いです。 しばらく、裁判所紹介とかなんか別のを考えていきます。