番外編20件目 郡上家裁 〜長良川がきれい〜
僕の彼女を紹介します。
僕の彼女は、日本の平和のために誤って罪を犯した人に判決を下しました。
その名前は、郡上家裁。岐阜家庭裁判所郡上出張所。
というわけで、僕の彼女を紹介します。
改め、
郡上家裁を紹介します。
裁判所のHPによると、郡上家裁へは「城下町プラザバス停隣」とのこと。
というわけで、長良川鉄道越美南線「郡上八幡」駅からスタート。
全国の裁判所データベースを作成中。ご覧になっていただける方は「僕の彼女たちを紹介します」(該当ページへ)からどうぞ。
なんか昔から地図を眺めるのが好きで、ニュースとかで聞いたことがある地名はどこにあるとか、旅行でこの街に行くとしたらどうやって行こう、この街もそのとき一緒に行けるかなとか考えるのが好きなんです。
仕事では車を使うこともあるので、道路地図なんかをぼんやり見たりすることもあります。まぁ実際の運転中はカーナビ絶対準拠なのでその知識が活かされることはないのですが、運転したあとになんでこの細い道通らされたんだろうとか、おさらいなんかをすることもあります。
先日、夜の移動に高速使うのもったいないやと下道を選択したら、マリオカートでクッパを使おうものなら10回はコースアウトするこんなルートを通らされました。運転しているときも暗くて泣きそうになりながらでしたけど、今地図で見て改めて吐きそうになります。
そんな地図閲覧の中で最近はまっているのが、電車の盲腸線を眺めること。どんな路線にも終点はあると思いますが、だいたい別の路線に接続しているもの。しかし、それが無く盲腸のように飛び出た形で終わっている路線を盲腸線といいます。皆さんもお近くの路線を想像するにあまり思い当たらないのではないでしょうか。
利便性を考えたら、別の路線と接続するのが普通。しかしそれがなく、ひたすら終点に向かう列車というのは、きっとその沿線の人にとっては欠かせないものであり、かつその終点駅には何かがあるに違いないと想像するのが面白いんですね。
そんな中、素敵な路線を見つけてしまいました。
それが今回紹介する長良川鉄道越美南線です。
JR高山本線、太多線、そしてこの越美南線が乗り入れている美濃太田駅を出発すると、終点の北濃駅まで途中どの路線とも接続することなく、
72.2kmひた走ります。途中、決して有名な都市がある訳でもなく、沿線住民のために運転を続けているのです。その姿にロマンを感じませんか?感じますよね…、そうか良かった、皆さんなら同じ思いを共有してくれると思ったんだ。君は普通くんのフレンズなんだね!
んで、まぁただロマンを感じるだけなら家で酒のつまみにしてりゃいいのですが、その沿線の郡上八幡駅を最寄りとした家庭裁判所があると知ったら、こりゃ行かざるを得ないだろうということで今回の旅を決意した訳なのであります。
まずは、裁判所じゃなくて終点の北濃駅を目指す話から始めます。
美濃太田駅に到着です。
ここまではJRで来たのですが、近隣の駅名がなかなかの難読です。
「各務ヶ原」「坂祝」これ両方とも読めますでしょうか?「各務ヶ原」の方は市の名前でもありますし、そこそこ大きな町だと思うので知っている人もいるかもしれませんね。
正解は「かがみがはら」「さかほぎ」です。
そんなJRから越美南線に乗り換えます。2両編成の電車です。ただ、帰りの電車は1両だったのでダイヤによって変わるのだと思います。
金曜日、土日祝日などは1日1便、観光列車の「ながら」というのが走っているようです。
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「観光列車ながら」←長良川鉄道のページへ
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本当は乗ってみたかったのですが、乗車したのはそれより1本早い電車。「ながら」に合わせると撮影の時間があまり取れなくなるんでね。
いざ出発というときに、
駅長様でおられます(肩書きに媚びるタイプ)、雪之丞さんがホームに。
写真を撮らせてもらおうとカメラを構えていたのですが、駅弁売のおじさんが「お〜雪之丞、元気か!ほらっ、こっち向け、ほらっ」とじゃれ始めたので、撮影できたのは発車の直前。でも、大人しくていい子でした。
それでは出発です。終点の北濃駅までは約2時間です。
「刃物会館前」という、いきなり気になる駅名が。この駅がある関市は刃物の町といわれているようで、その中でもこの駅から徒歩でフェザーミュージアムという世界初の刃物総合博物館に行けるとのこと。
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「フェザーミュージアム」←HPへ
<<
これは岐阜県関市出身の人と話すときに必須の話題ですね!まぁ、そんなレアな機会があったら、それはもう運命だから結婚しちゃえ。
どこからか忘れちゃったけど、車両先頭に女性が乗車。ここから裁判所の最寄りでもある郡上八幡駅まで要所でガイドをしてくれるとのこと。でも、最近始めたサービスかわからんけど、見ての通りお姉さん、台本をガン見。でもまぁ、ブログのネタ的にはありがたいところ。
撮影の時期はちょうど桜が満開。よく聞いてなかったけど、昔の人が1,000本だか何本だか、この辺りに植えたらしい。確かにずらっと並んでいるゾーンがあって、そこは綺麗だった。
でも、この長良川鉄道の見所は桜だけではありません。
日本三大清流のひとつと言われる長良川を眺めることができるのです。ほかの三大は柿田川と四万十川。何度か川と交差するのですが、大きな川幅のときなどは電車もスピードを落としてシャッターチャンスを与えてくれるという粋なサービス。
当然、お姉さん、この川の魅力を熱く語ってくれるのかと思いきや、
なんかスマホで業務連絡の電話しとる...。そして代わりに運転手さんが見所や歴史を紹介するという始末。ガイドさんがいない時はもともと運転手さん自ら説明していたんでしょうね、非常に喋りが滑らか。あれ、お姉さんの存在意義は...?
「みなみ子宝温泉」駅を通過。電車を降りる際に駅員さんに言うと、この温泉の入湯料が200円になる券をもらえるらしい。
そして、お隣の「大矢」駅では数分停車。この電車にはトイレがついていなく、中心地の郡上八幡駅までまだ30分ほどあるそうなのでトイレ休憩の時間がとられます。それ自体はありがたいことだとは思うんだけど、トイレから帰ってきた客一人一人に対して、お姉さんが「おかえりなさいませ」というのはなんか恥ずかしいから止めたほうがいいと思う。
大矢駅から2駅いった美並苅安(みなみかりやす)駅では、遂にお姉さん情報が大活躍。
この駅がある郡上市美並町の人々は鰻を食べてはいけないという慣習があるとのこと。なんでかっていうと、昔この辺りの人は鬼に悩まされていたのですが、鬼退治をしようと思うと行方をくらましてしまい、見つけることができない。すると目の前の一匹の鰻が表れて、何故か鬼の居場所を教えてくれたので、人々は無事に鬼退治に成功。そこから、鬼を退治する手伝いをしてくれたうなぎを神の使いと崇め、食べることはしなくなったんだとか。
ただ、村人の心の中の鬼は今も奥深くに眠っているのです...。
というダークなオチはついてはいませんが、こんな言い伝えがあるんだってさ。ありがとう、お姉さん。
まぁこの後、すぐ郡上八幡駅に着くので、お姉さんの活躍はここまでなのですが。きっと今後いろいろと試行錯誤を重ねて、立派なガイドさんになってくれることを期待しましょう。
郡上八幡駅は裁判所の最寄りですが、いったん通り過ぎてさらに40分強でようやく到着です。
長良川鉄道の終点「北濃」駅に到着です。
ってかさぁ、こういうイタズラ書きみたいなのマジで止めろよ。遠路はるばる来てホント嫌な気分になるわ。
それにしても、随分と山奥まで来たものです。終点まで来たらなにかあるかなと思ったけど、まさかの大雨に見舞われ探索する気が起きず。
駅直結でちょっとした食堂になっていたのでここに入ることにします。乗ってきた電車が折り返しする30分くらいで、昼食をいただきます。水曜、木曜が定休と書いてありますが、そこに当たってたらホントすることなかった。
頼んだのはこの地らしい山菜そばと、これまたここが産地らしいわさびを使ったコロッケ。僕、わさびが好きなんです。
雨に打たれた体に温かい山菜そばが染みます。山菜の味って歳をとるごとにわかってくる気がします。コロッケは、サクサクとした独特の食感がしながらも確かにピリリと来る、わさび好きなら楽しめるであろう一品。元関東人らしく、コロッケそばのようにしたら、そばのお出汁にも変化があり、わさびコロッケにもコクが出るというお得な感じ。美味しかったです、ご馳走様でした。
少し雨が上がったので、駅の周りを見てみます。
駅舎。山合に建つ風情ある建物という感じでカッコいいです。
線路脇には転車台が残っています。往復する電車の向きを変えるためのものです。
この路線は沿線の人たちの足として使われただけでなく、もともとは九頭竜ダムの資材の輸送やスキー客の送迎などにも使われることで活躍してきたのだとか。九頭竜ダムといえば、以前、福井県の大野簡裁(該当ページへ)にいったときにも、終点の九頭竜湖駅まで行きましたが、従来この越美南線と九頭竜湖駅が通る越美北線は接続する計画があったのだとか。距離にして30kmほどですが、その計画は頓挫してしまい、越美南線と越美北線という二つの盲腸線が残ることになったのです。
鉄道のお勉強の時間はおしまい。ようやくではありますが、本題に入りましょう。
折り返しの電車に乗って40分ほど、
郡上八幡駅に到着です。沿線で間違いなく一番人の出入りがある駅ですね。
見所が二つに渡っているのは珍しい。興味を引くのに難儀するラインナップではありますが。
駅を出ます。人の乗り降りは多かったものの、駅前自体はなんてことない、というか結構な田舎駅なので、きっと駅から離れると栄えてくるパターンなのでしょう。
郡上家裁へは、裁判所のHPではバスでの行き方が推奨されています。駅を出て右に行くとバス停がいくつか連なっています。その中で、
このコミュニティバスを探しましょう。目的地の「城下町プラザ」は、8の字を描くルートの中心にあり、どちらから乗ってもすぐ着くことができます。毎時15分、または45分のバスに乗れば大丈夫です。
では、バスの方は「城下町プラザ」バス停でお会いしましょう。
バスは30分に1本ありますし、徒歩だと2km近くあるルートなので正直歩きたくなかったのですが、なんとこの日はお祭りの日。混雑のため、中心地である「城下町プラザ」は通らないとのことだったので、渋々歩くことに。別に2kmを歩くこと自体はそう大したことではないけど、撮影しながらってなると結構時間がかかるからね。
駅を出て正面にある通りを左に進んで行きます。
最初にぶつかる交差点を地図上では右、感覚的には右前方へ曲がります。
ここまではっきりと結婚支援について書かれたのは初めて見たかも。
念のため消しているけど、こういう募集の看板にも携帯電話を載せる時代なんだねぇ。僕は一人暮らしなんでわからないですけど、最近の若いご家庭は固定電話って持っているのでしょうか。僕が高校生のとき、連絡網を作るってときクラスメートの小林くんの家が固定電話を持っていなかったから携帯電話を載せていたことに先生呆れていたけど、今思えば時代の先を行っていたのだろうか。
「サンプルの岩崎」という謎の看板。サンプルといったら、なんのことでしょうか。エロサイトのサンプル動画か、レストランなどの食品サンプルくらいしか思い浮かびません。
残念ながらというか、当然ですが食品サンプルの工場でした。しかも、体験・見学ができるとのこと。ただ、800円もするらしいので当然スルーです。
エロサイトのサンプル動画作りだったら、800円どころか、2,800円くらいまでなら出しても良かったのに。「バカ野郎、ここんとこ消しが甘ぇじゃねぇか」とか「お前の趣向でシーンの切り貼りしたって本動画まで引っ張って来れるわけねぇだろ」とエロ親方に頭引っ叩かれながら修行したかったのになぁ。
進む道は狭いながらも家が立ち並び、車もよく通ります。方向的には郡上八幡城の方角へ向かっています。
ここは何のお店だったんだろうなぁ。なんかレコード屋っぽい雰囲気もあるけど、コーヒー豆を売ってそうな雰囲気もあるなぁ。ちょっとしたバーという可能性も。想像は広がるけど、調べてもわかりませんでした。
東京などではほぼ見かけることの無いタイプの商店。たばこ屋が宝くじ売ってるのはいいけど、蜂蜜、黒炭、お米、塩と多様なものを販売し、ゆうパックの受付もしています。
逆に進むと鍾乳洞があるらしい。たまにこういう逆への看板見るけど、そこを目指している人ならいざ知らず、そうでない人がわざわざ引き返してまで行くものなのだろうか。
ちょっとここは説明が必要。
右手にこの地蔵尊があるあたりで、
こんな分岐があります。道路的に真っ直ぐというと右の通りですが、ここは左の商店街のようなところを通っていきます。
先ほど触れた通り、この日は祭りをしていたのでこんな幟があって分かりやすいですが、普段でしたらここの分岐を間違えないようお気を付けください。
祭りの幟はあるものの、この通り自体が主会場という訳ではないようです。ただ、浴衣を着た子どもの姿などを見ることはできます。
いい!実にいい!!
スナック的なお店に、この辺りで店やるなら「長良川ってつけときゃ無難じゃね?」って軽い気持ちでつけたんだとは思うのですが、この地方都市で、スナックで、ムード歌謡が流れていそうな店の外観に「長良川」というネームがジャストフィットです。悪い男ばっか好きになっちゃってその度に後悔するママとかいそうです。
今回の副題は今期アニメの「月がきれい」から。今期アニメはまだ何も着手していないので、どんな作品かはわかりませんが、サブタイのパロに使っちゃったので、進撃より先に見てみたいとは思います。
ずいずいと進んで行きまして、
願蓮寺の塀沿いにやや左に曲がって行きます。大げさにカメラを構えて、オッサン邪魔だ、どっか行けというアピールをしていたのですが、この赤い誘導灯を持ったオッサンは座ったまでどいてくれる雰囲気がなかったので仕方なく撮ることに。こういう顔を加工したりするのに時間がかかるんだよ。
願蓮寺の正門のところで左に曲がります。正門を背にして進む感じです。進む先はこれまた商店街になっていて、少しずつ祭り色が出てきています。
またも表れました食品サンプルのお店です。もうこれ以降、あえて紹介しませんがルート上にあと3軒ほど食品サンプルの店があります。郡上八幡は食品サンプルで有名な町らしいのです。
超リアルな蜜柑や干し芋といった渋い題材まで。紹介していたらキリがないのですが、お店ごとにいろんなサンプルを置いていて楽しめることは間違いないです。ただ、文字数がいきすぎてるんで巻いていきます。
「もたれないでください」と「すわるな」という看板。これを書いた人は多重人格なのでしょうか。
橋を渡ります。ここを流れているのは長良川ではなく、そこから分岐した吉田川なのですが、
眺めが超絶いいです。心が洗われるとはこういうことなんだなぁと思うのですが、一人でいる寂しさに、その洗われた心に闇が襲ってくるのも一瞬です。こんな悲しい思いをするなら、綺麗な景色なんて無くてただの田舎道や食品サンプル屋だけが連なってればいいのに...と自暴自棄になるのは俺だけでいい。
ちと説明が難しいんだけど、橋を渡って道沿いにやや左に曲がった先にある交差点(サッポロビールと書かれた酒屋さんが目印)で右に曲がります。
そんで緑の看板が目印、またまた食品サンプルの「郡上屋」がある交差点を左に曲がります。
途中、右手に城下町プラザという洒落た建物があります。
そこのちょいとした広場にバス組が降りる「城下町プラザ」バス停があります。祭り中ということでバスは運行しておらず乗れておりませんが、バスで来た人は城下町プラザが右手にある向きで進んでいってください。
お祭りの屋台ゾーンに突入。ただ、裁判所もこの辺りにあるはずなんだけど、と思っていたらありました。右手に見えます。
到着〜!!いつもより斜めっているのは、裁判所が屋台の陰に隠れていてベストスポットが見つからなかったため。休日で裁判もないからでしょうが、屋台出店者の駐車場としても使われていたようです。
所要時間は20分ほどですかね。バス停からも3分ほどで着きます。町並みを楽しむ余裕がある方なら、歩いて行かれることをお薦めします。
地図で表すとこんな感じ。進む道的には割と広い道が中心ではあるんだけど、ちょっと曲がるポイントが分かりにくかったりするかもしれないですね。
この後、祭りの屋台を少し回ったり、郡上八幡城の下まで行き結構坂を登ることに気づいて諦めたり、会社で結婚する人へのお祝い食品サンプルでいいやと適当に見繕ったりしたのですが、もう疲れたんで止めます。祭りはともかく、長良川の綺麗さや食品サンプルの精巧さはご自身の目で確かめる価値ありだと思いますよ。
最後にすれ違った神輿を二つだけ紹介。町ごとに何かテーマを決めて神輿を作るそうで、すれ違ったそれぞれに特徴があったり、熱量に差があったりで楽しめました。
こういう町ぐるみの親子のイベントを見てしまうと、大きくなってもこの町を離れないで、継承していって欲しいなと思ってしまいますよね。住んでいる人にとっては外に出たいと思う町かもしれませんけど、外から見るに非常にいい町だと思いましたよ。
最後に駅に戻ってきて駅舎をパシャリ。駅舎含め、その周辺は結構大規模な改修工事をしていました。今後、さらに地元の方にとって住みやすく、そして外から観光の人も来やすい町になることを期待しています。
そんな訳で、日本三大清流沿いでその恩恵を十分に感じながら、意外や意外の特産品などもあって楽しむことが出来る郡上市の郡上家裁
お薦めです!!
楽しかったです。結構、観光には外人さんもいたのですが、日本人でもあまり知らないであろうここを選ぶ渋さには驚きです。
次回から、観光パートが長いとどうしてもだれちゃうから、裁判所パートと分けようかなと考えていたりもする。書いてみて面倒だったらやらないけど。